2011年7月15日金曜日

変わる東コレについて聞く―米IMG副社長レヴィ氏、JFW推進機構理事長三宅氏。

 今秋から衣替えする東コレについて、実施組織の日本ファッション・ウィーク(JFW)推進機構の三宅正彦理事長(TSIホールディングス会長)と、スポンサー獲得の仲介役となった米IMGのピーター・レヴィ副社長(ファッション部門最高責任者)に聞いた。(聞き手は編集委員 小林明)
 ――なぜダイムラーをスポンサーに選んだ。
 「世界の多くのコレクションとすでに連携しており、ニューヨーク、ベルリン、モスクワなどは東コレと同様にメルセデス・ベンツの冠イベント。ファッションへの理解が深く、デザイナー支援の経験も豊富で、信頼できるパートナーになる」
 ――外資の出資に対して一部に懸念もある。
 「変化には常に不安がつきもの。ただ東コレを存続するためにはほかに選択肢がないのも現実だ。世界各地のコレクションにはそれぞれにふさわしいデザイナーや運営形態がある。新規スポンサーはそれを尊重してくれているので心配ない」
 ――東コレが乗り越えるべき課題は何か。
 「すでに洗練されたショーを開催している。国際的に見ても水準は高い。才能ある国内デザイナーを発掘し、市場にアピールする環境づくりを支援したい。東京はストリート・ファッションに強みがある。国内市場も成熟しており魅力的だ」
 ――今後外国人デザイナーの参加が増えるか。
 「コレクションは市場のニーズの上に成り立っているので、需要が見込めるデザイナーが参加するのが基本だろう。ただ厳密なルールはない。現実的には日本人デザイナーが中心になるのが自然の流れ。消費者や時代の動向に従うだけだ」
 ――東コレはどう変わっていくのか。
 「具体策は実施組織が検討しているが、有料チケット制など一般消費者を巻き込めば、イベントへの関心が高まるはず。東京は映画、食事、アニメなどファッション以外の魅力も多い。東コレがライフスタイル全体の交差点になってほしい」
 ――IMGが東コレ以外のアジアのコレクションと提携する計画は。
 「まだ非公式だが、すでに北京、ソウル、香港などいくつかのコレクションと協力関係にある。IMGは海外拠点を多く抱える国際企業。チャンスがあれば積極的にビジネスに取り組みたい」
 ――外資の冠イベントをどう評価する。
 「大変にいいことだと思う。高級イメージが世界に浸透しており、うまく活用したい。スポンサーが国内企業でなければいけない理由はない。経産省の財政支援が切れた今、台所事情は一番厳しい。現実問題としてほかに選択肢はなかった」
 ――ダイムラー以外にも主要スポンサーの有力候補はあったのか。
 「ダイムラーとはIMGを通じて早い段階から接触しており、当初から最有力候補だった。ただ東日本大震災の影響で協議が中断していたため、冠イベントにする方向で合意したのはごく最近のこと。ダイムラーがファッション支援事業を積極化する時期とうまく重なったのが幸いした」
 ――政府の事業仕分けで資金難に陥ったが。
 「一時期はひがんだこともあったが、改革の好機だと前向きに考えることにした。東コレをやめてしまったら日本の恥になる。コレクションを続け、技術、クリエーションで日本の優位性を保つことが国力を支えることにつながる。外資主導は今や世界の潮流だ」
 ――今秋、予定している東コレの内容は。
 「これまではもっぱらBtoBだったが、今後はBtoCのイベントも考える時期。有料チケット制を一部に試験導入して様子を見たい。開催時期や場所は従来通り。東京・六本木のミッドタウンも三井不動産の協力で当面は主要会場として利用させてもらう予定。現在、ダイムラーと協議中だが、メルセデス・ベンツの冠イベントとして3年以上は続けたい」
 ――今後の資金計画の見通しはどうか。
 「経産省から財政支援を受けていたころの事業費は年10億円超。当面、それほど潤沢な予算は組めないが、年6億円程度は確保したい。今回、ダイムラーが最大スポンサーになるし、DHLやロレアルなど外資からも出資を受けるが、国内企業からの出資も不可欠。企業側の理解を得たい」

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