2013年5月16日木曜日

オリンパス、医療重視鮮明――笹社長一問一答、映像事業が技術育む

 オリンパスの笹宏行社長との主なやりとりは以下の通り。
 ――デジカメなどの映像事業を続けるのは。
 「映像事業はイメージングや光学技術の原動力として多くの基礎技術を育んでいる。当社の中核技術を引っ張るものとして大きな意味を持つ」
 ――自己資本比率30%以上の達成のために増資は視野に入れるのか。
 「現時点で何も計画していない。利益の積み上げで17年3月期で30%以上を目指す」
 ――大株主の出資比率に対する考え方は。
「11%を出資するソニーとの関係は良好で支配を目的にしていない。これ以上の大株主が現れることも想定していない」

ミクシィ、巻き返しへ一歩――一問一答、朝倉氏、社員鍛える場を提供

笠原氏 変革遂げるチームに
 15日に開かれた戦略説明会などでの一問一答は以下の通り。
 ――朝倉氏を社長に昇格させる狙いは。
 笠原氏 「一層の変革をなし遂げる経営チームを作りたかった。朝倉氏はすでに着手しているユーザーファーストやユニット制を主導した実績も評価した。30歳と若く、ミクシィのユーザー層にも目線が近い」
 ――笠原氏からバトンを受け継ぐことになる。
 朝倉氏 「大学の先輩で、年齢もあまり変わらない笠原氏が社会を変えていることに興奮した。バトンを引き継ぐことには重い責任を感じるが、こんなエキサイティングな場はないとも感じている」
 ――ミクシィの現状をどう見るか。
 朝倉氏 「環境が大きく変わっているなかで、時代に先駆けた永久変革が必要になる。ミクシィはこれまで最高のサービスの提供が最優先だったが、スマホアプリを通じてサービスと収益を両立させてSNSへの依存体質を変えていく」
 ――どのようにミクシィを変えていくか。
 朝倉氏 「社員を鍛えられる場所を社内で提供していく。現場責任者に裁量を任せ責任もとってもらう。短期的な業務改善ではなく、10年、20年先を見据えた骨太な会社に変えていきたい」
 ――笠原氏は今後、新規事業の立ち上げに専念する。
 笠原氏 「新たなアイデアを生みだして寝る間を惜しんで作り軌道にのせるのが自分の最も力を発揮できる分野。特定のアイデアに絞ったわけではなく、焦らずじっくりと考えていきたい」

SNSの雄「起業家」回帰――ミクシィ創業者、会長に就任

 交流サイト(SNS)「mixi」を手がけるミクシィは15日、30歳の朝倉祐介執行役員が6月25日付で社長に昇格する人事を発表した。朝倉氏とともに日本経済新聞のインタビューに応じた創業者の笠原健治社長(37)は「私がフル回転できるのはアイデアを軌道に乗せるまで。1を10に育てる段階では、それが得意な人に任せたい」と交代理由を語った。(関連記事3面に)
 同社の2013年3月期の売上高は、前期比5・3%減の126億3200万円。広告収入の伸び悩みが減収要因だ。
 mixiは日本のSNSの草分け的存在。11年には月間1500万人超のログイン利用者数を誇ったが、その後はスマートフォンの普及と競合サービスの台頭で伸び悩んでいる。笠原氏は06年の上場以降「満足した瞬間はない」と振り返る。
 昨夏以降、ミクシィは既存サービス改善に乗り出しているが、そのリーダーが朝倉氏で、「冷静に見えて時に情熱的。社内の一体感も高まる」と笠原氏の評価も高い。朝倉氏は現在2本のスマートフォン向けアプリを13年度中に50本に増やすなど成長力の回復を図る。
 笠原氏は代表権のない会長に退く。フェイスブックなどに押され厳しい環境下での巻き返しは、コンサルティング会社での経験もある朝倉氏に委ね、自らは社内で新規事業立ち上げに専念する。「社会的にインパクトのあるサービスを考える」と語る笠原氏の表情は、「起業家」に戻りさばさばしていた。

SNSの雄「起業家」回帰――ミクシィ創業者、会長に就任

 交流サイト(SNS)「mixi」を手がけるミクシィは15日、30歳の朝倉祐介執行役員が6月25日付で社長に昇格する人事を発表した。朝倉氏とともに日本経済新聞のインタビューに応じた創業者の笠原健治社長(37)は「私がフル回転できるのはアイデアを軌道に乗せるまで。1を10に育てる段階では、それが得意な人に任せたい」と交代理由を語った。(関連記事3面に)
 同社の2013年3月期の売上高は、前期比5・3%減の126億3200万円。広告収入の伸び悩みが減収要因だ。
 mixiは日本のSNSの草分け的存在。11年には月間1500万人超のログイン利用者数を誇ったが、その後はスマートフォンの普及と競合サービスの台頭で伸び悩んでいる。笠原氏は06年の上場以降「満足した瞬間はない」と振り返る。
 昨夏以降、ミクシィは既存サービス改善に乗り出しているが、そのリーダーが朝倉氏で、「冷静に見えて時に情熱的。社内の一体感も高まる」と笠原氏の評価も高い。朝倉氏は現在2本のスマートフォン向けアプリを13年度中に50本に増やすなど成長力の回復を図る。
 笠原氏は代表権のない会長に退く。フェイスブックなどに押され厳しい環境下での巻き返しは、コンサルティング会社での経験もある朝倉氏に委ね、自らは社内で新規事業立ち上げに専念する。「社会的にインパクトのあるサービスを考える」と語る笠原氏の表情は、「起業家」に戻りさばさばしていた。

ファンケル「らしさ」復権へ――池森会長の下で新経営方針、「3年で刷新し交代

 ファンケルの池森賢二会長の会見での発言は以下の通り。
 ――なぜ経営の第一線に復帰したのか。
 「経営理念が希薄化していた。前社長がリブランディング(ブランドの刷新)に4年かけて取り組んでいた時に途中で『大丈夫か』と思い、注意したことがある。一生懸命やっていたが結果的に販売が振るわず、前社長が私に(経営の第一線に)復活してほしいと要請してきた。社員も私の復帰を望んでいるのではないか」
 ――ブランドの刷新が失敗した理由は。
 「商品が選びづらく文字が小さくて見にくいなどクレームが増えていた。プロセスは評価するし、品質もよいが『自己満足の芸術品』だった。店舗で接客を担う社員の質も落ちていることに危機感をもっていた」
 「私が経営していた時代はベンチャー企業といわれていたが、私が抜けてからベンチャーらしきことを1つもやっていない。ブランド価値も下がっている」
 ――ファンケルの成長を支えてきたサプリメント事業も販売不振が続いている。
 「私はサプリメントという言葉を日本で初めて使い、メジャーな市場にしてきた。それを後から参入してきた競合に次々と追い越され、すごいくやしさがある。このほど独自成分のPSGの量産化にめどがついた。これをもとに中高年市場を開拓し、もう一度サプリメント市場で名誉復活を図る」
 ――いつまで経営の第一線にいるのか。
 「私は75歳。はずかしながらやむを得ないと思い(経営の第一線に)出てきたが、長くやるつもりはない。3年間でもう一度創業の理念を取り戻し、バトンタッチする。そのためにこの3年間は創業者の私でしかできない改革をスピード感をもってやる」

栄光HD近藤好紀社長に聞く、「高齢者向け新事業探る」、教育需要、幅広く深掘り

 学習塾最大手の栄光ホールディングス(HD)が新規需要の開拓を急いでいる。4月に東京・六本木に英会話中心の学童保育を開設したほか、11日にベトナムで海外初の教室を開いた。同社の近藤好紀社長は高齢者向けの新事業も試行し、幅広い世代と地域をターゲットに教育需要を深掘りする考えを示した。
 ――学習塾市場は9000億円台で頭打ちだ。
 「受験塾だけでは成長できないと考える。リクルートのオンライン学習サービス、ジャストシステムのタブレット(多機能携帯端末)を使った学習サービスが登場し、競争の構図も変わった。新しい教室を集中的に開けば一定の規模拡大は見込めるが、それよりシェアをどう獲得するかだ」
 「当社の大宮校(さいたま市)などでは受験の栄光ゼミナール、シェーン英会話、大学受験のナビオが近隣に集まっている。狭いエリアでのワンストップサービスが強み。科学実験教室など他業態も可能な限り出したい。公立校受験に特化した『リテラ』もこの2年で成果が出てきたため、エリアを広げたい」
 ――六本木に英会話中心の学童保育施設「アカデミーガーデン」を開いた。
 「試験段階だが、世界の有力大学が入学資格に採用する『国際バカロレア(IB)』のカリキュラムを採り入れた。親の転勤などで海外の学校に通い、国際バカロレアなどに触れる子供が目立つ。日本でのプログラム提供には意味がある」
 「当社は塾という狭い範囲で考えず、1人の生涯に寄り添う教育サービスを提供する。当社が手掛けていない高齢者向けのサービスを試験的に始めたい。介護施設そのものを展開するのでなく、施設の利用者にコンテンツを提供する」
 ――M&A(合併・買収)への姿勢は。
 「予備校や通信教育を中心とする業界再編は過去の考え方。価値観が違う企業と手を組み規模を拡大することはない」
 ――このほど主要株主の進学会から監査役の受け入れ要請があった。
 「監査役は現在4人おり当社の監査役会は十分機能している。追加の選任は考えない。当社と進学会はマネジメントの形態が違うので互いに尊重し合うのが望ましい」
 ――ベトナムで小中学生向けの塾を開いた。
 「ベトナムで現地人向けの塾は珍しい。同国では子供の学習場所は学校が中心だが、最近は国が学習塾の役割に期待を寄せているようだ。まずハノイで展開し、ホーチミンも検討したい」
記者の目
公立受験型教室
成長の試金石に
 栄光HDは2010年以降、英会話学校や学童保育に事業領域を広げてきた。「垂直展開」を強調する近藤社長は高齢者向けサービスにも意欲を示すが、市場開拓には学習塾事業という屋台骨がしっかりしていることが欠かせない。
 その点でいえば11年に始めた小・中学生向け公立受験型教室「リテラ」は注目される。校舎を駅前でなく住宅地に構え、授業料は1万円台と安い。埼玉県で数校を展開している程度だが、今後の展開が同社の成長力を占う試金石となりそうだ。