2013年5月16日木曜日

栄光HD近藤好紀社長に聞く、「高齢者向け新事業探る」、教育需要、幅広く深掘り

 学習塾最大手の栄光ホールディングス(HD)が新規需要の開拓を急いでいる。4月に東京・六本木に英会話中心の学童保育を開設したほか、11日にベトナムで海外初の教室を開いた。同社の近藤好紀社長は高齢者向けの新事業も試行し、幅広い世代と地域をターゲットに教育需要を深掘りする考えを示した。
 ――学習塾市場は9000億円台で頭打ちだ。
 「受験塾だけでは成長できないと考える。リクルートのオンライン学習サービス、ジャストシステムのタブレット(多機能携帯端末)を使った学習サービスが登場し、競争の構図も変わった。新しい教室を集中的に開けば一定の規模拡大は見込めるが、それよりシェアをどう獲得するかだ」
 「当社の大宮校(さいたま市)などでは受験の栄光ゼミナール、シェーン英会話、大学受験のナビオが近隣に集まっている。狭いエリアでのワンストップサービスが強み。科学実験教室など他業態も可能な限り出したい。公立校受験に特化した『リテラ』もこの2年で成果が出てきたため、エリアを広げたい」
 ――六本木に英会話中心の学童保育施設「アカデミーガーデン」を開いた。
 「試験段階だが、世界の有力大学が入学資格に採用する『国際バカロレア(IB)』のカリキュラムを採り入れた。親の転勤などで海外の学校に通い、国際バカロレアなどに触れる子供が目立つ。日本でのプログラム提供には意味がある」
 「当社は塾という狭い範囲で考えず、1人の生涯に寄り添う教育サービスを提供する。当社が手掛けていない高齢者向けのサービスを試験的に始めたい。介護施設そのものを展開するのでなく、施設の利用者にコンテンツを提供する」
 ――M&A(合併・買収)への姿勢は。
 「予備校や通信教育を中心とする業界再編は過去の考え方。価値観が違う企業と手を組み規模を拡大することはない」
 ――このほど主要株主の進学会から監査役の受け入れ要請があった。
 「監査役は現在4人おり当社の監査役会は十分機能している。追加の選任は考えない。当社と進学会はマネジメントの形態が違うので互いに尊重し合うのが望ましい」
 ――ベトナムで小中学生向けの塾を開いた。
 「ベトナムで現地人向けの塾は珍しい。同国では子供の学習場所は学校が中心だが、最近は国が学習塾の役割に期待を寄せているようだ。まずハノイで展開し、ホーチミンも検討したい」
記者の目
公立受験型教室
成長の試金石に
 栄光HDは2010年以降、英会話学校や学童保育に事業領域を広げてきた。「垂直展開」を強調する近藤社長は高齢者向けサービスにも意欲を示すが、市場開拓には学習塾事業という屋台骨がしっかりしていることが欠かせない。
 その点でいえば11年に始めた小・中学生向け公立受験型教室「リテラ」は注目される。校舎を駅前でなく住宅地に構え、授業料は1万円台と安い。埼玉県で数校を展開している程度だが、今後の展開が同社の成長力を占う試金石となりそうだ。

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