2013年1月31日木曜日

日本エアロフォージ社長佐藤光司さん――大型鍛造素材の新工場


 神戸製鋼所や日立金属などが出資する航空機部材メーカー、日本エアロフォージ(Jフォージ、岡山県倉敷市)が瀬戸内海に面する県営工業団地で建設中の新工場が4月に稼働する見通しだ。国内最大級の大型鍛造プレス機を備え、航空機の素材を製造。航空機産業の下支えを目指す。ボーイング787型機が高松空港に緊急着陸したトラブルなどで空の安全への関心も高まる中、どのような事業展開をするのか、佐藤光司社長に聞いた。
 ――どのような工場なのですか。
 「新工場には国内最大規模となる5万トン級の大型鍛造プレス機を設置し、航空機の機材に使うチタンやニッケルの大型鍛造部品の素材を製造する。エンジンのタービンディスクやランディングギア(脚部)、主翼と胴体をつなぐ骨組み部分などを手掛けていく」
 「現在、これほど大型のプレス機は国内にはない。航空機向け大型鍛造部品はフランスやロシアからプレス加工済みのチタン材を輸入して作っているが新工場の稼働で国産化が実現する。ものづくりの競争力を国内に持つことは非常に大切だ。新工場への投資額約200億円の一部については、国や自治体から補助金を受けている」
 ――建設工事の進捗状況は。
 「県営工業団地『玉島ハーバーアイランド』の敷地5万平方メートルで建設中の平屋建ての建屋(1万9000平方メートル)はほぼ完成した。昨年12月に設備部品の運び込みを終えており、3月中に組み立てを完了させる。4月には操業開始できるだろう」
 ――事業の見通しや課題は。
 「操業後は出資会社から受注した製品のサンプルを実際につくり、納入先から認定を受ける。国際規格など航空機部材に必要な品質認証を14年春にも取得したい。本格的な生産はその後になる。生産が軌道に乗る17年度に130億円の売上高を目指す」
 「航空機市場は今後、成長していく分野。各種部品についても長期的な需要が見込める。ただ安全に直結するだけに、極めて高い品質管理が求められる。大型プレス機が注目されがちだが、安定的な品質を維持するためには温度管理や搬送時間など周辺の製造プロセスも重要だ。こうした総合力を高めながら日本の航空機産業を下支えしたい」
 ――地域経済への波及効果も期待されています。
 「地元には(地場企業で構成する航空機部品関連の共同受注組織の)ウイングウィン岡山があり、情報交換などを通じて協力していく。地域全体で航空機分野の一翼を担えるようになれば、経済活性化につながると思う」
 「本社も昨夏に東京から倉敷に移転し、雇用面では地元から20人採用した。出資会社の現場で操作の実習してもらい、操業開始に備えている。今後も地元採用を続ける予定で、地場企業として世界に攻勢をかけていく」

1 件のコメント:

  1.  県下初の本格的航空機機材のメーカーであり、その技術を世界に誇れる、若い技術者期待の会社に、また地域の技術を先導するカンパニーなっていただきたい。
     今後の技術展開に期待します。
     
                           倉敷在住者

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