2013年1月29日火曜日

米空調大手グッドマンCEOに聞く、省エネ技術取り込む、ダイキンの現地展開後押し。

 ダイキン工業による米空調大手、グッドマン・グローバル(テキサス州)の買収が昨秋に完了した。米国は世界最大の空調市場だが、上位6社で9割以上のシェアを占める。外資系企業にとって参入障壁が極めて高い特殊な市場で、両社はどう連携するのか。米ヒューストンの本社でグッドマンのデービッド・スウィフト最高経営責任者(CEO)に聞いた。
 ――今回の買収はどんな意味を持つのか。
 「ひとことで言えば補完関係だ。グッドマンは全米に900カ所以上の物流拠点があり、6万店以上のディーラー(販売代理店・据え付け業者)網を持っている。ダイキンは米国で最も広大な販売網を活用できるようになる」
 「生産性の高さも当社の強みだ。コスト意識は創業者から受け継いだカルチャーで、生産だけなくあらゆる面で発揮している。組織もフラットで、意思決定のスピードも速い。私の直属の部下は10人程度しかいない」
 ――グッドマンにとっての利点は。
 「我々の弱みは技術だ。もともと空調の据え付け事業から出発した当社には、空調機器の効率を高めるといった技術がやや乏しい。米国では電気代の47%を空調のコストが占めるといわれており、空調機器のエネルギー効率に関心が集まっている。ダイキンが持つインバーターなどの省エネ技術を取り込みたい」
 「家庭用エアコンが主力の当社にとって、ダイキンが扱う商業向けの空調機器も魅力だ。製品の品ぞろえが広がり、多様な顧客を開拓できる。ダイキンが事業を展開する国際的な流通網を活用すれば、当社の製品を北米以外にも販売していけるようになるだろう」
 ――今後の協業の具体的な進め方は。
 「まずはダイキンが得意とするダクト(配管)を使わないエアコンを、当社のヒューストン工場で生産する。この生産を通じて高い技術を取り込み、雇用も増やせる。調達でも、低コスト生産に強みを持つ我々のノウハウが生かせる。両社の調達を一本化するなどして、世界全体で調達コストを引き下げていく」
 ――米国の空調市場の見通しは。
 「住宅市況が底を打ちつつあり、新築住宅向けの販売はこのところ上向いている。また、更新需要も2013年は回復するとみる。消費者のマインドなど不確実な面はあるが、業界全体の出荷台数は伸びるだろう」
 ――買収に従業員などの不安はなかったのか。
 「ダイキンは北米ではそれほど存在感が大きかったわけではなく、従業員もむしろこの買収を通じて当社の果たす役割が大きいと感じただろう。むしろ、同じ米国のキヤリアなどに買収された方が、雇用などの不安が生じたかもしれない」
 「ダイキンは空調事業で世界最大手だが、空調発祥の地であり、最大市場でもある米国での成功は欠かせない要素だ。我々はダイキンを真の偉大なグローバル企業につくり直すのに貢献したい」

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