2013年1月29日火曜日

欧ヘッドハンティング大手に聞く、外部人材、中韓は積極活用、日本、閉鎖性など課題。



 アジアの経済成長を受けて、現地での幹部人材の需要が急拡大している。欧州のヘッドハンティング大手、AIMSインターナショナルはアジア諸国で事業展開し、現地での経営幹部の紹介に注力している。2011年には日本へも進出した。アジアの人材動向について、同社のロルフ・ヘーブ会長に聞いた。
 ――世界のヘッドハンティング需要は。
 「直近のピークだったリーマン・ショック前の水準から9割台に戻ってきている。需要の伸びが大きいのは主に成長著しいアジア圏での経営層の求人だ。これまで主力だった欧米系の金融機関の動きは欧州債務危機の影響が残っているためか、弱い。当社グループが大きく期待するのは日系企業のグローバル化に伴う海外進出先での人材獲得需要だ」
 「経済のグローバル化で国境を越えた人材紹介が一般的になった。ある新サービスや新商品を世界同時に投入するには、複数の優秀な経営人材を確保する必要がある。人材会社も企業の要望に対し、世界規模でどれだけ対応できるかが問われるようになっている」
 ――どんな人材が求められているのか。
 「やはり専門性の高い人材だ。知的財産、法務分野がわかる管理職などはニーズが強い。特に海外拠点の立ち上げに関わった経験がある即戦力の人材が求められている」
 ――アジアで人材獲得に積極的な企業は。
 「大手自動車会社などの世界企業のほか、グローバルに事業を展開しようとする中小企業からの案件も増えている。海外展開にあたり、現地法人の社長となる人材を紹介したケースがあった。業界別では製造業に限らず、住宅メーカーや化粧品会社など多岐にわたっている」
 「中国や韓国企業の利用も活発だ。中韓企業は進出先の環境に日本企業よりもずっと早く適応して、高い競争力を発揮している。経営層に自国民以外の人材を充てることに積極的なことがその理由の1つではないか」
 ――日系企業の課題は。
 「現地トップなどに外国人の起用をためらわない中韓企業に対し、日系企業ではヘッドハンティングの活用は中間管理職の獲得にとどまる。現地法人のトップには現地事情に疎い日本人が本社から送りこまれるケースがほとんど。人事や現地企業との交流で閉鎖的になりやすい傾向がある。高い教育水準とビジネスセンスがあるのが日本人の強み。現地の事情に精通した人材をさらに増やすことができれば、より早い事業拡大が期待できると見ている」
(聞き手は古川慶一)
 AIMSインターナショナル オーストリアに本社を置くヘッドハンティング大手。1992年設立で欧州や北米を中心に世界50カ国・90カ所に拠点展開する。売上高は104億円(2011年)でヘッドハンター数は約350人(同)。最近はアジア戦略を重視し、日本にも11年に拠点を設立した。

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