2013年1月29日火曜日

HIS、世界で攻勢――平林社長インタビュー、南米の旅行市場に商機、中東にも注目。


 エイチ・アイ・エス(HIS)の平林朗社長はアジアとともに南米市場の開拓も強化する考えを明らかにした。主なやり取りは以下の通り。
 ――アジア以外での展開は。
 「南米も同じ状況で力を入れている。南米は日系人が多い上に、富裕層も多いのでアジアよりも成長する可能性がある。中東も有望市場だ。中東の人々は旅行先として欧米を避ける傾向にある。中東域内の旅行だけでなく、マレーシアやタイ、シンガポールといった旅行を提案すれば可能性がある。3年後には海外での事業規模が日本を逆転するようにさせたい」
 「もちろん、世界的な知名度を得るには欧米市場も開拓しなければならない。この市場に入るためにはM&A(合併・買収)も活用する。今でもM&Aの資金的余裕があるが、シナジーが出るような体力がついてからだ。そのためにも欧米旅行が人気の南米市場を開拓することがまず重要だ」
 ――グローバル化を進める上では海外に通用する人材が必要となる。社内での英語公用語化などは検討しないのか。
 「英語公用語化はデメリットも多い。たとえば、京都の風情を伝える旅行商品をつくる際に、英語で会議したら、日本的な情緒を伝えるものができない。インドでもタイでも同様で、その地域の文化にあった商品が必要。グローバリゼーションよりもローカライゼーションの方が大切だ。その点では、英語よりも現地の言語を習得した方が良い」
 ――日本事業はどう位置付ける。
 「まだまだ成長できる。シニア層の旅行需要があるからだ。格安航空券のHIS、学生の味方のHIS、海外旅行のHISという形で成長してきたが、コアコンピタンス(得意分野)は個人旅行だ。団体旅行を得意とする他の日本の旅行会社とそこが異なる」
 「今のシニア層は町内会旅行のような団体旅行よりも個人旅行を好むため、HISの強みが発揮できる。確かに昔はかゆいところに手が届くようなサービスは上手ではなかったが、そこは改善できている」

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