2011年6月23日木曜日

供給量確保、商戦熱く――キリン、松沢社長(ビール復興の夏トップに聞く)

のどごし・淡麗好調 主力品集中へ
 ――ビール系飲料の販売状況をどうみる。
 「震災で一時出荷が滞るなど業界全体に影響があったが、落ち着いてきた。店頭をみると悲観するような動きではない。家庭用は堅調で、あとは業務用の立ち直りが課題だ。節電に伴うサマータイム制など、人の生活・行動が大きく変化する。暑いときを快適に過ごせるような提案をしたい」
 「主力ブランドの『のどごし〈生〉』『淡麗グリーンラベル』が非常に好調で、消費者に定番回帰の傾向もありそうだ。新商品では発売直後に震災が起きて販売を休止した『濃い味・糖質ゼロ』などを6月下旬から売り出す。ただ、マーケティング費用も定番品への集中度を上げる方針でやっている。震災が起き。この方向にさらに進んだ。もちろん新たなカテゴリーを創出できるような新商品には力を入れる」
 ――夏の生産体制は。
 「仙台工場以外の増産で対応する。東京電力管内以外の工場も、15%程度の節電をしながら安定供給できるようにする。日曜日の製造のほか、商品製造以外の作業はすべて深夜から早朝にまわすとか、当然、空調・照明の削減は徹底する」
 「震災で休売していた『ストロングセブン』と『円熟』を販売終了とすることにした。これは仙台工場が稼働していない中で商品の種類を絞ることで、主力品を安定供給することがメーカーの責務と考えたからだ」
 ――横浜工場に大型の自家発電設備がある。さらに設備増強の計画は。
 「ほとんどの工場はバイオガスを使った発電装置をもつ。中長期にわたるかもしれない節電要請にどう対応するか。自家発電の増強や省エネ設備の導入をさらに考えていく必要がある」
 ――「一番搾り」などキリンブランドを海外で展開する業務が今年、持ち株会社からキリンビール社に移った。
 「現地工場で委託生産している欧州と米国は非常に好調だ。ロシアは一番搾りの委託先を(大消費地に近い)モスクワ郊外に移した。材料も麦100%に切り替え、販売を強化する。アジア各国への輸出も加速したい。世界での事業展開は国内の人口減への対応だけでなく、外国で働ける人材のトレーニングの場を増やす意味でも重要だ」

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