2011年6月24日金曜日

日本スターウッド・ホテル、ペール社長に聞く、「安全訴え外国人客呼び戻し」。

早期の回復、原発収束カギ
 東日本大震災を機に訪日する外国人が激減した。ただ、都市部を中心にウェスティンなどのブランドでホテルを展開する日本スターウッド・ホテルのロタ・リチャード・ペール社長は「福島第1原子力発電所事故に収束の見通しがつけば、回復は早い」との見通しを示す。震災後の状況と今後の対策などを聞いた。
 ――足元の状況は。
 「震災直後の数週間は、東京のホテルの売上高は前年比で8~9割減となったが、日本人の利用が戻り直近では同3~5割程度の落ち込みにとどまっている。セントレジスホテル大阪の稼働率は5月には招待客を除いても8割弱に達した。ただ、外国人客はまだ訪日に大きなとまどいがある」
 「9月までは厳しい状況が続くだろう。外国人客の戻りが鈍く、夏は国内旅行客や料飲部門での取り込みがカギになる。ただ、福島第1原子力発電所の事故の収束の見通しがつけば、10月以降は一気に回復するだろう」 ――震災直後、外資系ホテルが撤退するのではという臆測も流れた。
 「撤退はしない。当社は震災直後に米国本社の社長が来日して状況把握に努めた。本社の社長が来日したのは外資系ホテルで最初だったのではないか。今後もグローバルセールスの担当者などが来日する。それだけ日本は重要なマーケットだ」
 「日本は文化も歴史もある魅力的な国。それなのに訪日外国人の数が香港やシンガポールに比べるとずっと少ない。もっと外国人の呼び込みに力を入れるべきだ。そうすればホテルなど各分野にベネフィットが広がる」 ――外国人を日本に呼び戻すための対策は。
 「日本の安全性を訴えていくことだ。4月から当社のホテルの総支配人に北京やシンガポールなどアジアの旅行会社などを回らせ、航空会社と組み、海外の旅行会社などを招いた『ファムトリップ』も積極的に行っている。6月上旬までの6週間で約200社を招いた」
 「日本を含む複数の国の社員が集まる会議はできるだけ日本で開いている。先日も3人ほどシンガポールから来日してもらった。被災地以外では通常の生活に戻っていることを体験してもらい、日本の安全性を広めてもらう。そうすれば海外で『日本には渡航すべきでない』という情報が流れてもすぐに対応できる」
 ――外国人比率の高い外資系ホテルが置かれた状況は日系より厳しいとの見方がある。
 「必ずしもそうとはいえない。我々は世界各地に1000以上のホテルがあり、5月には丸1日、世界中の6000人を超える営業担当者が日本に特化した営業活動を行った。世界規模の企業だからこそできることだ」
 「3年以内に5カ所、少なくとも3カ所には出店したい。まだ沖縄に進出していないし、日本にはないWホテルのほか、東京にもセントレジスを出したいと考えている」
 日本スターウッド・ホテル 100カ国・地域でシェラトンやウェスティンなどのブランドのホテル1000カ所超を展開する米スターウッド・ホテルズ・アンド・リゾーツ・ワールドワイドの日本法人。ウェスティンホテル東京(東京・目黒)やセントレジスホテル大阪(大阪市)など15ホテルを展開している。
 ペール社長はスターウッドグループの日本・韓国・グアム地区統括社長も兼任。日本では2000年にシェラトンホテル札幌(札幌市)の総支配人に就任し、ウェスティン都ホテル京都(京都市)や、ウェスティンホテル東京の総支配人を経て05年11月から現職。
記者の目
長期的な施策で
外国人呼び込み
 訪日外国人数は5月に35万8000人と前年同月比50・4%減少したものの4月の同62・5%減からは改善した。都内のホテルで大型の団体客が入り始めるなど復調の兆しもある。外資系ホテルの幹部は「外国人客の落ち込みは一時的。長期的には日本は有望なマーケット」と口をそろえる。
 フォーシーズンズ・ホテルズが京都に、ザ・リッツ・カールトン・ホテルが京都と沖縄への進出を決めるなど外資系ホテルの進出も続く。震災後急減した外国人を呼び戻す対策だけでなく、長期的な視野で日本に外国人を呼び込む施策が求められている。

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