2011年6月23日木曜日

日本市場「なお有望」、ランスタッド日本法人新CEOに聞く、経営統合で本格展開。

特有のノウハウ取り込む
 人材派遣で世界2位のランスタッドが、日本市場の開拓を本格化する。今年1月に傘下に収めたフジスタッフホールディングス(HD)の2社と日本法人が7月1日付で経営統合し、主力事業を「ランスタッド」ブランドに統一する。日本の人材派遣市場には逆風が吹くなか、どのような戦略で臨むのか。新会社の最高経営責任者(CEO)に就くマルセル・ウィガース氏に聞いた。
 ――経営統合の狙いは。
 「ランスタッドは人材派遣では世界2位で、2006年に日本に進出したが、独特の人事制度や商習慣を持つ日本でこれまで大きく動けなかった。日本での知名度が低いため、事業会社のフジスタッフや製造業派遣のアイライン(宇都宮市)と社名を1つにし、資源を集中投下する」
 「人材派遣、人材紹介、アウトソーシング、再就職支援などを一元的に幅広く手掛けるようにして、ある事業の顧客に別の事業も提案できるようにする。例えばアイラインの製造系のサービスは現在は東日本が中心だが、フジスタッフの営業基盤を活用し、西日本も開拓したい。結果的に、スタッフに提供できる仕事の選択肢の幅も広げられるだろう」
 ――事業別の展開は。
 「特定の事業に注力するというよりは、顧客のニーズに応じて対応していく。今後製造請負や、事務センターの受託などのアウトソーシング(外部委託)の需要は高まるとみている。人材紹介も、専門職のニーズは高まるだろう」
 ――日本の人材サービス市場には、規制強化の動きや東日本大震災など逆風が吹く。
 「たしかに東日本大震災という大災害が起き、当社も北関東が本拠地のアイラインの顧客が大きな影響を受けた。とはいえ当社は事業展開を短期的には考えておらず、中長期的にみて日本のマーケットは強いと確信している」
 「まず日本の派遣市場は世界2位と市場そのものが大きい。第2には人材サービスの質やプロ意識の高さがあり、日本特有のノウハウなどは世界のグループ企業に輸出できる。最後に人材サービス業界が細分化されており、最大手の企業群もシェアは小さい。これは当社にとっても開拓のチャンスが大きいことを意味する」
 「日本の労働力人口は今後減少していき、専門職を含めて人材不足になることが見込まれる。またリーマン・ショックや東日本大震災が企業に体制の見直しを迫っており、日本も労働市場に柔軟性をもたせる必要があることが明白になっている。人材サービスの重要性はより高まっていくだろう」
 マルセル・ウィガース氏 82年(昭57年)オランダ・アムステルダム大学卒。ランスタッドのオランダやイタリアの営業担当などを経て、06年ランスタッド日本法人社長。11年7月に新会社のCEO就任予定。アムステルダム出身。50歳。
【表】ランスタッド・ホールディングの概要   
本  社   オランダ
設  立   1960年
従業員数   2万5680人
事業展開   欧州、北米、オーストラリア、インド、中国など世界43カ国に4300拠点で人材派遣をはじめとした総合的な人材サービス事業を展開
日本での展開   2006年日本法人設立。08年フジスタッフホールディングス(HD)に10%出資。10年8月TOB(株式公開買い付け)での完全子会社化を発表。11年1月、フジスタッフHDのフジスタッフやアイラインなどのグループ会社を傘下に

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