2011年6月21日火曜日

ソフトバンクホークス笠井社長に聞く、球団、09年から実質黒字、安定した収益確保。

強いチーム作りが鍵
 全日程を終了したプロ野球の「日本生命セ・パ交流戦」でセ・リーグの全6球団に勝ち越し、2年ぶり3度目の優勝を決めた福岡ソフトバンクホークス。球界参入から7年目を迎え、観客動員は順調に推移し、経営は軌道に乗りつつある。今後も安定した球団運営は続くか、そのために何が必要か。笠井和彦・オーナー代行兼社長に聞いた。
 ――東日本大震災の影響で開幕日が4月12日に遅れた。客離れはないか。
 「本拠地が福岡ということもあって観客動員に影響はない。むしろチームが好調なので客足は伸び、経営は順調だ。今季1試合当たりの平均観客動員数は昨季と比較して10%程度増加している」
 「4月に福岡県に避難する被災者を300~400人、本拠地ヤフードームに招いた。8月にも佐賀県や長崎県にいる被災者を招待するため九州旅客鉄道(JR九州)や西日本鉄道と相談している。ベテランの小久保(裕紀)らが中心の募金活動など球団で、できることを常に考えている」
 ――ソフトバンクは2005年シーズンから球団運営に参画した。収益はどう推移している。
 「収入は入場料のほか物品販売などがあるが、大きいものの1つにソフトバンクグループの主力事業である携帯電話事業などへの貢献による収入がある。携帯電話の契約数のシェアは着実に伸びており、グループに与えるホークスの効果を金額換算、これをホークスの業績に反映させている」
 「この計算によると、球団の営業損益は09年に黒字転換した。昨年は約28億円と過去最高の営業黒字を達成した。クライマックスシリーズ進出で利益が大きく伸びた形だ。強くて人気のあるチームづくりが結局は安定した球団運営となる」
 「約3万7000人収容するヤフードームの全試合を満員にするにはどうすればいいか。安定した球団運営の鍵はこの1点に尽きる。全試合でイベントを打つなど今も手抜かりはないが、球団社員による横断的なチームを立ち上げ、来季に向けた施策もまとめつつある」
 「すでにヤフードームの収容客数を4万1000~4万2000人にまで増やすことも検討している。地元テレビ局を中心とした放映権料収入、ドーム内の看板広告なども好調なため、売上高は当面、300億円(10年実績は247億円)まで引き上げるのが目標だ」
 ――モバイルを活用したチームづくりも浸透する。
 「選手全員に『iPhone(アイフォーン)』と『iPad(アイパッド)』を支給。選手やスタッフ向けの球団専用アプリを設け、相手球団、個々の選手の投球・打撃フォームといった様々なデータを提供している。球団関連の施設にはすべて無線LAN(構内情報通信網)環境を整えている。今季、横浜ベイスターズから移籍した内川(聖一)はIT(情報技術)化の進んだホークスに驚いていた」
 ――過去、プロ野球は球団合併など冬の時代を経て、経営の「自立」が求められている。
 「親会社から経済的に自立できるかのポイントは結局、プロ野球がファンに支えられていることを強く認識することだ。このため、チームを強くするための不断の努力が欠かせない。同時に球団関係者の総力を結集してファンが球場に足を運びたい、と思うような施策を打っていく」

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