2011年6月23日木曜日

韓国通信最大手・KT会長に聞く、クラウドで海外展開急ぐ、新興国の同業買収も視野。

 韓国通信最大手KTが事業構造の転換を急いでいる。携帯電話子会社との合併から2年。次の戦略分野として、インターネット経由でソフトや情報システムを提供するクラウドコンピューティングや海外事業を本格展開する意向だ。将来の人口減が懸念される韓国は先進国と同様に通信市場が伸び悩む。生き残りに向けた次の手を李錫采(イ・ソクチェ)会長に聞いた。
 ――2015年のグループ売上高を10年比6割増の40兆ウォン(約3兆円)に引き上げる中期計画の具体策は。
 「固定電話を中心に通信市場が衰退する速度と新たに伸ばす事業の成長速度が競い合うことになる。国内通信事業以外の売上高比率を10年の27%から15年には45%まで引き上げる。既にクレジットカードやレンタカーなど相乗効果が望める企業の買収を決めた」
 「海外通信会社の買収は価格が高くなっており、難しい面もあるが、新興国市場ではチャンスがある。日本企業を含め他社と連携しての進出もあり得る。クラウドコンピューティング事業を本格化する準備を急いでおり、海外展開にも乗り出す」
 ――日本企業向けデータセンター事業の合弁会社をソフトバンクと設立する。
 「東日本大震災を受けどんな役に立てるかをソフトバンクに相談したところ、日本の電力不足が深刻化するのでデータセンターでの協力が望ましいとの話があった。韓国南部で企業のデータをバックアップするサービスを提供することで孫正義社長と合意した」
 「韓日間には海底ケーブルがあり日本国内とサービス環境は変わらない。営業活動はソフトバンク側が担当するが、200社程度が関心を持っていると聞く
 ――出資を受けるNTTドコモとの関係にヒビが入らないか。
 「NTTドコモは外国人の最大株主で関係は非常に密接だ。だが(提携先と競合するから)ある企業と一切取引をしないのは時代錯誤。分野ごとに協力し、互いの役に立たなければならない」
 ――米アップルの「iPhone(アイフォーン)」をKTが韓国で販売することでサムスン電子と確執があったと指摘されている。
 「(サムスンとは)関係が難しかったことがあるが、一方で協力する部分もあった。今はサムスンのスマートフォンも販売している」
 KT 国有だった旧韓国通信が2002年に完全民営化。09年に携帯電話子会社KTFと合併。グループ各社を含む10年の売上高は約25兆ウォン(約1兆9000億円)で、うち海外事業は1兆ウォン程度。筆頭株主は国民年金公団(昨年末時点の出資比率は8・26%)。NTTドコモは5・46%を出資する第2位株主。李錫采会長は情報通信相や青瓦台経済首席秘書官を歴任、09年から現職。今月7日には米電気電子学会(IEEE)の「産業リーダー賞」を受賞した。

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