2013年1月22日火曜日

資生堂社長末川久幸氏――団塊世代の女性を応援


 ――2012年の尖閣諸島問題や反日デモで、成長エンジンだった中国の売上高が急減した。

 「思っていたより厳しい。中国専用ブランドとして1994年に発売した『オプレ』は息長く国民的ブランドのように支持され売り上げが戻りつつある。一方、現地で輸入している世界共通ブランド『グローバルシセイドウ』などは厳しい」
 「中国では日本製品を使いづらい雰囲気があり、特殊な需要、法人などギフト用途の購入もダメだ。例年12月は特需が一番多いが、これまでとは事情が違っていた」

 ――苦戦が続く国内事業のてこ入れがより重要になる。具体策は。

 「『女性を応援している会社』との評価を生かし、メーキャップ講座などを通じた女性の支援を本業として伸ばす。まず一番ボリュームが大きい団塊の世代を考えている。化粧を使い、美しく年を重ねることを『きらめきエイジング』と呼び、新しい生き方を提案しながら化粧を売り込む」
 「社内には美容室向けなどの化粧品やシャンプーを手掛ける事業や、髪のカラーやスタイリング、手入れの仕方の知見を提供する研究所もある。そうしたリソース、データを有効に使い、事業の壁を越えて店頭で提案する。3月までには1、2回実験をやりたい」

 ――主販路の小売業とどう連携するのか。

 「ドラッグストアや総合スーパーなどはそれぞれ特色を出すと思う。極論すると価格志向と品質志向といった具合だ。それに合うよう営業活動を組み立てて、商品から営業、店頭の美容部員まで一気通貫させる。組織は既に走らせている」
 「プライベートブランド(PB=自主企画)も単に価格が安いのとは一線を画したライフスタイル提案に変わっている。化粧品でどういう提案になるのかはまだ模索する必要があるが、顧客の役に立つならば我々としても提案したい」

 ――化粧品専門店の販路はどう強化するか。

 「今年は資生堂がチェインストア制度を導入して90周年に当たる。専門店ともう一回議論し、どういうチャネルでありたいかというビジョンをしっかり立てたい。約1万3千ある専門店の中には内容が素晴らしいところが結構ある。12年春に開設した自社サイト『ワタシプラス』での紹介を通じて来店してもらえるようにもなってきた」
 「地元に密着した専門店を、顧客がくつろいで化粧について話し合って明日の活力につなげる空間にできればよい。昨年12月、震災復興支援で訪ねた福島県の専門店で話を聞くと、それができていた」

0 件のコメント:

コメントを投稿