2013年1月23日水曜日

山陰合同銀、東南アジア展開、山陰合同銀行頭取久保田一朗さん


 山陰合同銀行がタイやインドネシアなど東南アジアでの事業展開に動き出した。現地の金融機関と協定を結び、取引先企業への情報提供に力を入れているほか、駐在員事務所の設置を検討する。これまで中国で現地企業と取引先を橋渡しする商談会を企画してきたが、尖閣諸島を巡る日中関係の冷え込みの影響が心配される。久保田一朗頭取に展望などを聞いた。

 ――取引先の海外進出支援ではこれまで中国が先行してきました。

 「当行は1997年に大連、2003年に上海にそれぞれ駐在員事務所を設置した。中国でのビジネス展開を考える取引先への商談会開催や情報収集のための拠点として機能してきた」

 ――尖閣諸島を巡る日中関係の悪化で、どんな影響が出ていますか。

 「駐在員事務所への直接的な被害は出ていない。商談会は昨年4回開催した。ただ、昨年11月に予定していた商談会を延期せざるを得なくなった。日本からの企業だけでなく、中国企業の参加が難しくなったためだ。アジアへの進出や取引拡大を考える取引先企業の間では、チャイナ・プラス・ワンに関心を持つようになっている」

 ――取引先が目を向けてきた東南アジアでの展開はどのように進めますか。

 「タイでは現地のカシコン銀行と昨年4月に業務協力協定を結んだ。すでに自動車関連などのメーカーがかなり進出しているが、バイクから4輪へと、モータリゼーションのシフトが進んでいくとみられる。日本からも現地進出の重要性はさらに高まっていくだろう。取引先企業への進出支援や情報提供に力を入れていく」

 ――インドネシアでの取り組み状況はどうですか。

 「昨年7月に国際協力銀行が中心となり、当行など国内地銀の各行共同でバンクネガラインドネシアと提携した。インドネシアはまだ地銀で現地進出しているところはほとんどなく、先行して駐在員事務所を構えることができればメリットも大きいと考えている」
 「ただ、外国銀行の進出に対する規制が厳しいため、時間がかかりそうだ。米国でのリーマン・ショックを発端とした金融危機は金融機関の投機的取引が原因との見方もあり、警戒感が強いことがあるようだ。とはいえ、世界の投資マネーはインドネシアへかなりの規模で入っている」

 ――具体的な戦略はありますか。

 「インフラ整備などのための資金需要は逼迫している。現地では場所を移動するにも到着時間が読めないほど整備が遅れている。インフラ整備などのための資金需要は大きい。プロジェクト融資などで当行としても協力していきたい旨を当局の関係者などへ伝えている」

山陰合同銀行が東南アジア進出を目指すのは、地盤の山陰地域が過疎化などを背景に中長期的に経済成長の展望が描きづらいことがある。地域の企業にとってもアジア進出への潜在需要は小さくない。中国だけでなくタイやインドネシアへの進出により、そうした企業の選択肢を広げ、進出支援に力を発揮できるようになる。

 2012年度から3年間の中期経営計画のなかでも顧客企業の海外進出支援は重点項目のひとつ。地域に密着したリレーションバンキングと海外展開を組み合わせ、内向きに陥らない新しい地銀の成長モデルを模索する。

0 件のコメント:

コメントを投稿