2013年1月22日火曜日

UT、幹部職を社内公募、長期定着、競争力の源泉に――若山社長に聞く


「成長実感できる環境重要」

 執行役員など幹部職を社内公募するUTホールディングスの「UTエントリー制度」が注目を集めている。工場などへの人材派遣や請負を手掛ける同社にとって、優秀な人材の確保と定着は重要課題だ。工場閉鎖や人員削減など製造現場の雇用環境が厳しさを増すなか、どうやって請負事業を伸ばすのか。同社の若山陽一社長に聞いた。

 ――UTエントリー制度を導入した狙いは。

 「全社員に公平なキャリアアップの機会提供と、主体的に貢献する人材の育成を目的に今年度から始めた。FCマネージャーという監督者レベルでは、自らのキャリア形成について書類選考と各部門長へのプレゼンテーションで審査する。これまでに約150人から応募があり、60人近くが登用。同じくFCマネージャーから執行役員クラスにも、取締役会の審査を経て3人が昇進した。入社1年目から誰もが立候補できるため、現場の社員から最短2年で経営幹部となることも可能だ」
 「社内イントラネットを活用して必要な技能や知識をオンラインでいつでも自習できる。集合教育も定期開催している。継続的なキャリア支援には安定した雇用が不可欠なため、多くの従業員を正社員として雇用した上で顧客企業へ派遣している。当社の正社員比率は70%と業界では高い」

 ――人材育成を重視する理由は。

 「これまで派遣会社は主に企業を向いて仕事をしてきたが、働き手から選ばれる時代に変わり、『この会社なら成長できる』と実感できる環境づくりが重要になった。技能や役割貢献度を25段階で公平に評価して処遇に反映している。月間の離職率は2%で業界平均の8%を大きく下回る。離職率を抑えて熟練者が増えれば高品質なサービスが提供でき、競争力の強化につながる」

 ――電機・半導体など製造業の雇用情勢は厳しくなっている。

 「企業の請負ニーズを開拓し、2012年9月末の取引工場数は411カ所と3年で4倍になった。一方、生産減による解約数も増えている。12年4~9月期の解約数は前年比22カ所増の53カ所になった」
 「加速する製造業のリストラに対して受け皿となる施策も始めた。工場の閉鎖に伴い、社員と工場を当社が一括して受け入れ、職場を変えずに雇用する事業は3年間で1000人の実績となった。12年4月には『UTキャリア』を設立し、再就職支援に乗り出した」
 ――今後の重点課題は何か。

 「規模の拡大を目指す。需要が短期間に大きく変動するために取引工場数を増やし、配置転換先の確保が必要なためだ。企業側も本社が全国の工場を一括管理する体制に移行している。規模拡大は顧客ニーズに全国で対応するためにも重要だ」

 UTホールディングス 製造現場への人材派遣や請負大手。請負事業を拡大しており、顧客工場数は411、稼働社員数は7169人

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