2011年7月4日月曜日

ライセンス海外展開、サンリオ社長に聞く、辻信太郎氏、「イメージ守る」を最重視。

 サンリオが海外でのライセンス事業を強化している。同事業が海外で急速に伸びた背景や、今後の戦略を辻信太郎社長に聞いた。主なやり取りは以下の通り。(1面参照)
米での経験、転機
 ――「ハローキティ」のライセンス事業が欧米など世界中で好調だ。
 「キティはよく『かわいい』と言われるが、ほかのキャラクターとは少し性質が違う。耳にあるリボンは『結ぶ』ことから『仲良く』、口がないので『みんなで助け合おう』といったメッセージが込められている。日本人らしい文化的なメッセージが、世界中の人にかわいがられる要因ではないか」
 「念願だった文化の輸出がようやく実現できた。うちは文化を広められる企業として生き残りたい。約50年前、米IBMのように他社がマネできない強いビジネスができて、つぶれない会社にするにはどうしたらいいかと考えたとき、『著作権』という言葉を知った。当時は『あやしい』などと批判されたが、日本企業が得意としてきたものづくりに陰りが見えてきた最近になって、ビジネスとして注目されるようになった」
 ――長らく物販中心だった事業構造をライセンス中心に変えたきっかけは。
 「米国での経験が大きい。直営店を90店以上持っていたが、結局はすべて、玩具メーカーなどに譲渡したり閉鎖したりすることになった。海外で多くの人を雇用すると、管理や教育が大変。特にキャラクタービジネスはイメージが大事。社員や販売員もイメージを構成する一員だ。イメージを守ることに創業から52年間、奔走してきた」
 ――ライセンス事業にかじを切ることに当初は反対した。
 「今も、ライセンスだけでは商売はできないという思いは変わらない。キャラクターを育成する場所としてピューロランドなどテーマパークは必須だからだ。テーマパークは顧客がキャラクターに会うことができるコミュニケーションパークと位置付けている。テーマパークには今後も積極的に投資していきたい」
 ――今後アジアで事業を強化していくなかで、中国は著作権を侵害されるリスクもある。
 「中国はキティの人気が以前から高く、成長市場として魅力はあった。取引したいという企業もたくさんあるが、これまでかなり慎重に判断してきた。今年のうちに弁護士など法務チームで偽物への対策をとってから、来年には本格的に市場を開拓する。また、中国人社員や現地の協力企業に管理監督してもらう体制に移行する」
 ――M&A(合併・買収)を重要な戦略と位置付けている。
 「最近は業績も良く、キャッシュが増えてきているが、ライセンス事業中心になり、設備投資や人手もかからないので正直、使い道があまりない。キャラクターを買収することも一つの選択肢。ただ、すでに今まで自社で開発したキャラクターが200以上ある。この中から十分育成できると思っている」
部下育ってきた
 ――50年以上社長を続けている。任期についてはどう考えているか。
 「この50年間で多くのライバル企業を引き離し、キャラクター業界で強い地位を確立することができた。今年の12月で84歳になり、部下も育ってきたので、引退もそろそろかと考えている」

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