アストモスエネルギー社長 山崎達彦氏
給湯や空調、発電用を拡大
石油会社と商社の間で続いてきた液化石油ガス(LPG)元売りの再編が新しい段階に入った。JX日鉱日石エネルギーと三井物産、丸紅の事業統合で3月、ENEOSグローブが誕生。出光興産・三菱商事系のアストモスエネルギーを抜き業界首位になった。国内市場が縮むなか、トップ2社はどう打開策を描くのか。ENEOSグローブの松沢純社長とアストモスの山崎達彦社長に聞いた。(聞き手は加藤貴行)
――計画停電などで事業環境に変化は。
「オール電化一辺倒だった住宅メーカーが創エネや省エネに興味を持っている。LPGを使う(家庭用燃料電池)『エネファーム』と、太陽光のダブル発電の問い合わせは増えている。産業用の燃料転換に加え、家庭・業務分野の給湯、空調、発電の用途拡大にも力を入れる」
「消費電力が電気エアコンの10分の1のガスヒートポンプなど新機器も登場している。従来、業界自らで需要創造できていなかったが、流れが変わってきた。あとは特約店と協力し、実際に需要を作れるかが問われる」
――ENEOSグローブ誕生の影響は。
「実力、存在感のある会社が業界をリードするのは心強い。創エネ分野でも当社の先を行く企業であり、当社も工事、施工の研修拠点を通じ需要を掘り起こす。競争しながら市場を切り開く」
――業界再編の先べんを付けたアストモスの5年間をどう評価する。
「ガス産出国の提示価格に基づき小売価格を決める、透明性の高い価格体系をつくれた。業界全体にとっても成果だ。当社の海外での自社船によるトレーディングも伸び、販売量で国内350万トン、海外500万トンの体制ができた。2014年には計1000万トンをめざす」
「常に新しいものに挑戦するのが統合の目的。4月には社員に第1ステップは終わり“第2の創業”と呼びかけた。エネルギー政策の動きを見ながら中期計画を策定し、来年からスタートする」
――この先の業界再編はどう進むと思うか。
「燃料調達、精製部門を伴う従来型の再編以外に、機器メーカーやリフォーム事業者など異業種との統合、元売りと小売事業者の垂直統合もあるだろう。全体で需要を創出するしかけが大事だ」
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