2011年7月6日水曜日

みすずコーポレーション社長塚田裕一氏

高野豆腐 若い世代にPR  簡単・便利な調理提案
 大豆加工食品のみすずコーポレーション(長野市)が幅広い年齢層に向け需要開拓を進めている。主力商品が高野豆腐やいなりずしに使う味付け油揚げに偏っていることが背景にある。味付けを工夫したり、食べ方の提案や売り方を模索することで、若い女性や子供の需要を掘り起こす。戦略について塚田裕一社長に聞いた。
 ――商品の市場環境をどう見る。
 「高野豆腐は食料品といっても日常的に食卓にのぼる地域は限られている。全国平均をとれば、半年に1度程度の頻度で食べる人が多く、嗜好品のようになっている。普段の食卓に並べ、いかに食べてもらうかを考え、特に若い世代を意識した販売戦略が重要になっている」
 「原材料は高騰するが、競合他社を考えると小売価格に転嫁できない。原材料の大豆や食用油の価格は上昇している。消費財のデフレ傾向はまだまだ続いている。当社商品がスーパーの特売品になり安売りされないように需要を開拓するしかない」
 ――商品開発のポイントは何か。
 「高野豆腐を食べるのは40歳代以上が中心で、煮物の具材の一つとして選ばれている。30歳代以下は調理方法を含めて高野豆腐の料理すら知らない。高野豆腐とだしをセットにして電子レンジで調理して簡単に食べられる商品が必要だ」
 「これからの商品は『簡単で便利で本物』がキーワードだ。さらに低カロリーでたんぱく質が豊富という健康面のメリットも必要だ。高齢者には食感と食べやすさを工夫した鍋物用具材を開発する。子供にはアニメのキャラクターをパッケージに印刷した商品を販売しており、人気だ。高野豆腐という伝統ある食材をどう食卓に残すか、知恵を絞っている」
 ――味付け油揚げを増産している。
 「原材料の高騰で小規模な生産者が撤退し、大手メーカーに注文が集中しているようだ。業務用では素材やだしで競合他社との違いを明確にする必要がある」
 「生産量は1日に280万枚体制で国内最大級となった。いなりずしを食べるきっかけとなるイベントの開催も考えたい。増産すれば、おからなどの副産物も増える。廃棄物にせず飼料や肥料に加工し資源循環型の生産に取り組んでいく」
 ――市場は国内だけか。
 「味付け油揚げは米飯を主食とするアジアでも需要を開拓したい。高野豆腐は中華料理の鍋の具材で親しまれている。人口が減少する日本国内では幅広い世代で潜在需要を掘り起こし、海外での需要も開拓したい」
商品・レシピ訴求 需要拡大のカギ
 サンリオのキャラクター「ハローキティ」の焼き印をつけた高野豆腐が子育て中の芸能人のブログで紹介されるなど人気商品となった。こうした商品を敬遠しがちな顧客層にアピールする企画が奏功した。買ってみたいと思わせる商品力が新たなファンを獲得した。
 今後は新たなファンに味付け油揚げを含めみすずコーポレーションの商品をどう訴求するかが課題になる。キャラクター頼りにならないためにもヘルシーさや新たな食べ方の認知度を高めることが欠かせない。商品とレシピの両輪での訴求が需要拡大のカギとなる。

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