JSRが2011~13年度の中期経営計画をまとめた。石油化学やファイン(半導体・液晶材料)事業に次ぐ第3の収益源を早期に育成して経営体質を強化する。M&A(合併・買収)にも500億円を用意し、医薬分野などで案件を積極的に発掘する。小柴満信社長との一問一答は次の通り。 ――中期計画の土台となるテーマは。 「20年度にありたい姿を想定し、それを達成するための最初の3カ年と位置付けた。13年度までの連結売上高で(10年度比で約3割増の)4500億円、営業利益は(約5割増の)600億円以上を目指す。20年度までに(現在の約2・4倍の)時価総額1兆円を達成したい」 ――具体策は。 「第3の収益源の候補として、3つの『戦略事業』がある。過去2年間でも育成してきたが一番先に成果が出そうなのが精密材料・加工だ。スマートフォン(高機能携帯電話)などに使うタッチパネル用の導電膜付きフィルムは、11年度中に韓国での生産量を約3倍に増やす」 「環境・エネルギーでは蓄電装置などに使うリチウムイオンキャパシタなどが有望だ。メディカル材料は診断薬材料などを伸ばす」 ――M&Aはどんな分野を目指すのか。 「設備投資の1300億円とは別枠で500億円程度を用意する。現時点で目ぼしい案件はないが、当社が比較的手薄なメディカル分野などが中心となろう。石化やファイン事業を含めて業界再編には常に関心を持っている。機会があれば積極的に検討したい」 ――既存の2大事業はどう伸ばすのか。 「グローバルな競争力を持つ製品は市場の2倍以上のペースで成長を目指す。例えば、石化事業のうち低燃費タイヤ用で世界シェア首位の高機能合成ゴムは13年にタイの合弁工場が稼働する。3カ年の売上高の成長率は年平均で27%を見込む」 「ファイン事業のうちレジスト(感光性樹脂)など半導体材料は、回路の微細化や素子(チップ)の積層化に対応した高機能品で年平均15%の成長を目指す」 ――震災で合成ゴムを生産する鹿島工場(茨城県神栖市)が2カ月以上、停止した。 「原料の供給元である三菱化学の鹿島事業所の被災が大きかった。ただ自動車の窓枠などに使うEPDM(エチレン・プロピレンゴム)は韓国のグループ会社からの代替出荷や在庫の放出でカバーし、必要最低限の量は供給できた。夏場の15%節電も自家発電や作りだめなどで対応し、主要製品の生産にあまり影響はない」 「今後も成長を続けるためには海外売上高比率は必然的に上がる。10年度は44%だったが13年度は52~53%程度を見込む。20年度には70%くらいになるかもしれない」 |
2011年7月8日金曜日
第3の収益源模索、JSRの新中計、小柴社長に聞く―M&Aにも500億円。
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