JVC・ケンウッド・ホールディングスが経営再建に向けた取り組みを急いでいる。2008年に日本ビクターとケンウッドが統合して以来、リストラ続きだった経営に終止符を打ち、再び成長に向けた絵を描くことができるのか。5月に社長に就任した不破久温社長に、今後の経営方針などを聞いた。 ――就任から2カ月たつが、現状の課題認識はどうか。 「再建途上という認識は変わらない。財務基盤はある程度回復してきたが、再建の過程で多くのリストラを断行してきた。4月時点で前年に比べ全体の約15%にあたる1100人の人員が減った。事業としても民生機器分野のテレビなどディスプレーモニター事業は国内から撤退するなど、全体を縮めてきた。私は外部から来た人間だが、これだけ思い切ったリストラをした事例をほとんど知らない」 「さらに、苦戦していた民生機器事業でビデオカメラやオーディオなど、残った事業も決してバラ色なわけではない。今後はCカーブを描くように、事業を再び成長軌道に乗せる必要があるが、逆風のなかのスタートだ」 ――成長には何が必要か。 「今進めているのは、技術の『ふ分け作戦』だ。大規模なリストラを実行した結果、技術者などの開発リソースが十分手元にないのが現状だ。そんななかで技術者の持つ技能をマップ化する作業を進めている。例えば3次元(3D)動画を生み出す技術としてはすばらしいものを持っている。活用できる技術を丁寧に洗い出し、製品開発につなげていく」 「スピード感も大事だ。これまで特に民生機器分野では開発期間が長期化してしまう課題があった。開発から発売までの期間は平均して14カ月。これでは市場の変化についていけない。12カ月など開発期間を短くするよう指示を出した。先回り作戦とも言えるかもしれないが、13年にかけた製品を先回りして作りだそうとしている」 ――具体的に注力していく分野は。 「喫緊の課題である民生機器分野以外では、カーナビゲーションシステムなどのカーエレクトロニクス分野と無線機器分野があり、これらは強い商品群もある。カーナビ事業で中国に販売網や製造拠点を持つシンワインターナショナルホールディングスを買収した。日本市場で小さな手を打つよりも、海外で積極的に事業を進めていきたい」 「特にカーナビゲーションシステムも有望な分野だ。自動車メーカーは通信機能を通じてビジネスを大きく広げられる可能性があり、その通信分野を担うのがカーナビだからだ。店舗に自動車で立ち寄ればポイントが付与される、ドライブスルーを様々な店舗でできるようにする。ほかにもカーナビが安全な走行を補助することもできるかもしれない」 ――赤字の続くビデオカメラ事業をどうテコ入れするのか。 「3D動画やフルハイビジョン動画など、中高級機種の開発に集中し、低価格機種専用の開発は行わない。技術者が大幅に減ったなかで、低価格帯の機種に開発リソースを振り分けていくことは難しい。さらに、ビデオカメラという枠を超えた製品開発も積極的に進めたい。例えば家のなかで人の安全を見守るセキュリティー分野に向けた製品開発などだ。放送局向けの業務用カメラも引き続き注力していく」 ――今後の投資計画をどのような方針で考えているか。 「カーエレ分野と無線機器を含む業務用分野に集中投資していきたい。11年度の投資総額のうち、70~75%程度を両分野にあてていく方針だ」 |
2011年7月19日火曜日
車載・無線に集中投資、JVCケンウッド不破社長に聞く―成長軌道へ開発も短縮。
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製造
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