2015年4月17日金曜日

アクロクエストテクノロジー寺田大典氏――ミャンマーの携帯利用、格安SIM発売で急増

アクロクエストテクノロジー ミャンマーブランチマネージャ 寺田大典氏
人の動きも調査可能に
 「アジア最後のフロンティア」と呼ばれるミャンマーに日本企業が続々と進出している。ソフトウエア開発のアクロクエストテクノロジー(横浜市、新免流社長)も2012年に支社を設置。スマートフォン(スマホ)利用者の協力を得て、時間帯や曜日による人の動きである流動人口を最大都市ヤンゴンで調べた。寺田大典ミャンマー支社長に携帯電話の普及状況や調査の結果を聞いた。
 ――どのような調査を実施したのですか。
 「当社のミャンマー現地法人は、日本からのソフト開発業務の受託と、ミャンマーの企業向けソフトの開発・販売を担当している。それとは別の新事業としてミャンマー向けのスマホアプリを開発し、そのアプリを使ってヤンゴンにおける携帯電話網の通信品質や流動人口を調査した」
 「14年12月にアプリの配布を開始した。福引ができるアプリで、利用者から統計のための情報を収集することをあらかじめ断っている。6500人がダウンロードし、およそ4000人が頻繁に利用している」
 ――調査のもとになる現地の携帯電話サービスの状況は。
 「携帯電話の普及率を16年までに80%に高める目標のもと、政府は13年に国際入札を実施し、ノルウェーのテレノールとカタールのウーレドゥーの2社に免許を交付した。それまで市場を独占してきた国営ミャンマー郵電公社(MPT)は14年7月にKDDIと住友商事のグループと共同事業運営契約を結んだ」
 ――利用者は増えていますか。
 「14年前半まではSIMカードの価格が数万円だったが、3陣営が14年後半に相次いで格安SIMカードを発売した。100~150円程度で入手できるようになり、街中で見かける携帯電話利用者が急激に増加した。端末は従来型携帯電話機が1000~2000円、スマホが3万~4万円程度で売られている」
 ――サービスの質はどうですか。
 「実施した調査では、端末の位置と通信速度、通信事業者などの情報を収集している。各事業者がヤンゴン全体を面的にカバーできる状況になったものの、通信品質の改善が必要なエリアがどの事業者にも残っていることが分かった」
 ――人の動きも見えるそうですね。
 「どの場所に何人のユーザーがいるかを一定時間ごとに収集し、蓄積している。時間帯や曜日などに応じて、地点ごとの人の数がどのように変わるのかが分かる。インフラ整備や店舗出店の計画を練るのに使える」
 「休みの日なのにショッピングセンター付近に人が集まらないことがあった。その付近の時間的な変化を調べると、夕方から夜にかけて急に人出が増えていた。特に若い世代は自動車の保有者が少ないため、暑い日の日中には外出しないと言われる。それを裏付けるデータが得られた」
 ――平日の通勤ではどのように動きますか。
 「ミャンマーの中心街はオフィスと住居が混在するビルが多い。中心街における日中と夜間の人数の差はそれほど大きくないと想像していたが、夜間人口は中心街からバスで30~40分ほどかかる郊外で急激に増えることが分かった」
 ――今後はどのような調査をしますか。
 「データを取り始めた12月から今までは乾期だった。5月から始まる雨期には冠水が頻繁に発生する。これから取得するデータを使い、雨期と乾期の人の動きの変化も見つけていきたい」

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