2015年4月17日金曜日

ユニクロ「脱・価格経営」、ファストリ柳井会長、事業見直し急ぐ――海外、米国立て直し。

 ファーストリテイリングは海外事業を今後の成長エンジンと位置づける。今秋には海外の店舗数が日本を上回る見込みで、グレーターチャイナ(中国、台湾、香港)を中心に出店。国内の高付加価値路線を支える上でも海外の成長は不可欠だ。
  我々の最終目標は、進出したそれぞれの市場でナンバーワンになること。日本とグレーターチャイナ、韓国では実現した。東南アジアや欧米でも存在感は確実に高まっている
 ユニクロの海外出店は2015年8月期に200店を計画し、8月末に818店舗となる見込み。8月末に844店舗となる見通しの国内店舗数に迫り、秋には海外が国内を超える。
 15年8月期のユニクロ事業の売上高はグレーターチャイナで3千億円、韓国で1千億円に迫るという。8千億円をうかがう国内に次ぐ柱に育ってきた。柳井氏は「世界一の市場である米国を最優先にする」とこのほど表明。「北米で3年後に売上高1千億、営業利益100億円を目指す」という。主戦場は国内から海外へ移ってきた。
  事業経営をしていると毎日世界中でいろんな問題が起きていて、それを愚直に1点ずつ、つぶしていく。そういう情熱がなくなった時が一番の死角だろうと思う
 ファストリの15年8月期の連結業績は売上高が1兆6500億円、営業利益は2000億円と、いずれも過去最高となる見通し。中国や韓国のユニクロ事業の好調がけん引する。国内ユニクロ事業も既存店売上高は前期比6%増を見込み、衣料品の需要が落ち込む中で強さが際立っている。
 ただ米国のユニクロ事業はまだ赤字で、国内ユニクロ事業も原価上昇が響き営業利益は伸び悩む見込み。「2020年度に連結売上高5兆円」という目標実現には、成長のスピードをさらに速める必要がある。
  ジーユーは「ファッションと低価格のブランド」として確立したと思う。それ以外のブランドも最短で10億ドルのビジネスに育てたい
 低価格衣料品店の「ジーユー」は14年8月期に売上高が1000億円を超え、現在は売上高3000億円、営業利益300億円を目指している。3月に国内300店舗を超え、なお出店余地は大きい。海外も中国・上海と台湾を足がかりに、欧米への出店をうかがう。今後は「ZARA」や「H&M」といった外資ファストファッションと競える体制作りが課題だ。
 他のブランドは苦戦している。米高級ジーンズの「Jブランド」は赤字に苦しみ、仏婦人服「コントワー・デ・コトニエ」や仏婦人肌着「プリンセス タム・タム」も当初計画ほどは伸びていない。15年中にもファストリやユニクロと業務システム全般を共通にし、あらためて底上げを目指す考えだ。
  今後うちの経営やっていく人間には、絶対僕のスタイルにするなよって言っている。チームで会社を発展できる人が我々の会社を継ぐと思う。スケジュールは未定
 「折り込みチラシの細部まで口を出す」という柳井氏も66歳。後継育成も待ったなしの課題だ。柳井氏は「チーム経営」を掲げ、現在約50人の役員を将来200人に増やす考え。1月から約50人の若手社員を選抜し育てる研修を始めた。各自に執行役員以上が指導役として付き、3年間かけて育てていくという。

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