ビール系は定番に注力 ノンアルコールで首位狙う
――東日本大震災で仙台工場(宮城県名取市)と千葉工場(千葉県船橋市)が一時操業休止になった。
「両工場は当社の主力工場で、事業への影響は大きかった。だが、千葉工場に続き、仙台工場も5月からビールの仕込みを再開しており、供給体制は元に戻っている」
――足元の販売状況はどうか。
「家庭で飲む傾向が強まっている消費者をとらえ、『黒ラベル』の缶が好調で1~5月の累計で販売量が前年を上回った。コンビニエンスストアやスーパーでの存在感も高まっている。昨年は6月に売り出した夏季限定商品の『アイスラガー』は今年は震災の影響で7月発売になるが、期待している」
――年初に年間のビール系飲料の販売を約2%増と予想していたが、実際の動向は。
「7月までの天候や需要を見極めないと判断できない。ただ、3、4月に供給が十分できなかった影響を年間で取り戻すのは容易でない。少なくとも年間で前年並みの販売を狙っていきたい」
――現在の重点商品は。
「『プレミアムアルコールフリー』だ。震災5日後の3月16日発売で広告や販促ができずに困ったが、その後、品質が評価されて販売が好調だ。年内の販売目標を当初の2倍に上方修正した。『飲みながら刺し身を食べられるノンアルコールビールを』と、開発担当者に指示した通りの商品になった。麦芽やホップのしっかりした味が特徴だ」
「ノンアルコールビールはもっと市場が広がる可能性があり、改めて販促策を練り直す。『この市場でチャンピオンを目指そうよ』と社内で言っている」
「ただ、『プレミアムアルコールフリー』のように新しい土俵で戦える商品は別として、ビール系飲料では原則、新商品はつくらなくていいと言っている。当社は『黒ラベル』や『エビス』、『麦とホップ』という定番に集中して、鍛え直す。期間限定の新商品で将来のニーズを探る試みを続けることは大切だ」
――業界では販売に占める第三のビールの構成比が高まっている。
「冷静にみないといけないところだ。ビールや発泡酒から第三のビールに需要がシフトしているといっても、一方では新ジャンルから、ワインとか焼酎、(チューハイなど)缶の低アルコール飲料に需要が流れていっている。『家飲み』で飲まれる酒類は多様に分化しており、当社も洋酒などを含めて備えたい」
――サッポロホールディングスと経営統合したポッカとの共同商品開発は。
「ぜひやりたい。清涼飲料でユニークな商品をつくっているポッカ社と一緒になることで、当社の酒類の開発の自由度も高まる。ビール市場が厳しいなか、ハイブリッドな感覚で、異質の知恵を合わせながら、新しいものを生み出す姿勢が大切だ」
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