2011年7月1日金曜日

スターフライヤー・米原社長に聞く、福岡―羽田線きょう就航、年間乗客40万人目標。

 新興航空会社のスターフライヤー(北九州市)が7月1日、福岡―羽田線に参入する。日本航空、全日本空輸の大手2社とスカイマークがしのぎを削る激戦区。1日5往復とライバルに比べて圧倒的に少ない便数でどう挑むのか、米原慎一社長に聞いた。
 ――新規参入の狙いは。
 「ようやく黒字を確保できるようになり、次のステップとして路線拡大による事業規模の拡大を狙っている。福岡県に拠点を置く航空会社として、福岡線に参入するのは当然の選択だ。年間目標は搭乗率70%以上、旅客数40万人だ」
 「北九州線との相乗効果も見込める。例えば、他社の羽田発最終便は午後8時ごろ。当社の深夜発の北九州便であれば、東京で夕食を取ってからでも、福岡へ戻ることができる」
 ――便数が少ないが、他社にどう対抗するのか。
 「スターフライヤーは料金が高いというイメージがあるようだが、大手2社と比べれば明らかに安い。スカイマークと比べれば割高になるが、早朝便での朝食提供や革張りの広い座席など、他社に無いサービスを評価してもらえるはずだ」
 「ただ、ビジネス客中心の北九州との客層の違いは感じている。北九州線は平日の予約が多いが、福岡線は逆に休日の予約が多い。観光などビジネス以外の利用が多いということだ。ネットでのPRなど、こうした客層への訴えを強めていく」
 ――増便の見通しは。
 「2013年に羽田の発着枠拡大が予定されている。新興航空会社が優遇されると聞いているので、ある程度の枠を獲得できるはず。希望としては10枠。すべてを福岡に振り分けるのではなく、北部九州のほかの空港に就航する可能性もある」
 ――株式公開計画の進捗は。
 「2011年度中の早期上場を目指し、証券会社と手続きを進めている。上場には2つの目的がある。まずはベンチャーキャピタルなどの既存株主への還元。もう一つは資金調達だ。今後の路線拡大に向けた機体の購入や、自前の乗員訓練施設建設などコスト削減のための投資に使いたい」
 ――路線拡大についての考えは。
 「北九州を中心とした1千キロ圏程度はすべてターゲットになる。12年夏には韓国・釜山への就航が決まっている。当初は1日2往復だが、需要は増えると見ており、増便も検討したい。ほかにも韓国・仁川や台湾は有望。中国なら北京や上海も候補に挙がるだろう」
激戦区での競争
知名度向上カギ
 2年連続の黒字を確保したスターフライヤーにとって、羽田―福岡線の成否は今後の成長のカギを握る。年間約800万人が利用する福岡線は有望なマーケットである半面、競合他社との激しい競争が見込まれる。
 スターフライヤーは往復5便と便数の上での劣勢は否めない。さらに、北九州便で行っている全日空との共同運航は、羽田線では実施しない。自社の力で座席を埋める必要があるが、地元の北九州に比べて、東京や福岡での知名度は低い。
 サービスや高級感で他社に対抗するにも、まずは搭乗してもらう必要がある。知名度アップに向けた取り組みが求められる。

0 件のコメント:

コメントを投稿