営業益2.5倍目標 13年度
技術者派遣最大手のメイテックは、このほど2013年度を最終年度とする中期経営計画を策定した。08年のリーマン・ショックでは多くの派遣契約が打ち切られたが、最大の経営資源である技術者は減らさずに難局を乗り切った。では東日本大震災後、日本の製造業各社はどう動くか。今後の見通しなどについて西本甲介社長に聞いた。
――東日本大震災は製造業に大きな爪痕を残した。影響はどうか。
「製造業の復旧スピードが速いと実感している。東北や北関東には電機、自動車関連の集積があり、リーマン・ショックの経験から震災直後は700人以上が契約終了のリスクがあると見積もった。しかし派遣先である製造業各社は生産が打撃を受けても開発のアクセルをゆるめる動きはなく、杞憂(きゆう)に終わった」
「特に新興国向けの需要は旺盛で、各社とも対応する製品の開発は最重要課題だ。震災の影響で一部失う契約もあるとみているが、逆にサプライチェーンの問題で部品の設計変更などを進めるための復興需要も出ているので、全体では相殺できるとみている」
――震災後に中期経営計画を決めた。
「13年度の連結売上高は10年度比25%増の770億円、営業利益は2・5倍増の75億円以上を目指す。一見保守的にみえる数字だが、またリーマン・ショックと同規模の危機が来ても営業黒字を出せる体制という前提で計画を組んだ。最大の経営資源である人を大切にする」
――具体的には。
「稼働率が最大で7割以下に落ち込んだリーマン後にも、国の雇用調整助成金を活用して人員は一切削減しなかった。当社の経営資源は技術者に尽きるので、当社で『雇用を守る』ことは情緒的な意味にとどまらない。リーマン後に雇用に手を付けなかったことは、結果的に評価してもらえている」
「採用は10年度から一部再開していたが、今年度以降は新卒、中途を合わせて毎年600人以上を採用する。12年春卒業予定の新卒採用を含む11年度の採用計画は850人。キャリアサポートも充実させる」
――サポートという意味は何か。
「技術者であっても“人間力”の向上が欠かせない。リーマン後には稼働を継続できた人とそうでない人に分かれた。さらに一旦契約解除されても、数カ月後の再契約で声がかかった人とそうでない人に分かれた。その差は定量的なスキルに現れない人間力にあった」
「当社は派遣社員として働く従業員は常用雇用であり、多様な派遣先を経験しながら60歳の定年退職まで技術者として務められる。そういった技術者の先輩がロールモデルになるように、研修などを通じて若手社員などを育てていきたい」
「このほかに中小企業で正社員として働くための人材紹介事業も再稼働させ、従業員に多くの選択肢を提供できるようにしていきたい」
メイテックの中期経営計画の骨子
<13年度の収益目標>
連結売上高 10年度比25%増の770億円以上
連結営業利益 10年度比2.5倍の75億円以上
<戦略目標>
採用戦略 新卒と中途で年間600人以上を採用
キャリアサポート 技術力にとどまらず「人間力」を向上させる教育・研修
その他 コンプライアンス、IT戦略強化など
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