10月にも新中期計画
後発医薬品大手、大洋薬品工業(名古屋市)は後発薬世界最大手であるテバファーマスーティカル・インダストリーズ(イスラエル)の傘下に入ることを受け、10月にも新しい経営計画をまとめる方針を示した。島田誠社長に今後のテバとの連携のあり方などについて聞いた。
――テバとは今後、どのように連携していくか。
「6月半ばからテバ側と本格的な話し合いを始める。テバの組織体系にあわせる形で、人事や法務、営業、生産など社内に新たに9部門のチームを発足した」
「両社の『統合チーム』という位置付けで議論の場を設ける。9月末までに連携の内容やスケジュールといった大枠を固めるつもりだ」
――課題は何か。
「テバとの相乗効果をどう出すのかが一番大きな課題。テバの医薬品原薬を活用できるようになるだけでも(我が社にとって)大幅な生産コストの削減が見込める。テバは幅広いヘルスケア事業も持つので、こうした事業をどの段階でどのように取り込んでいくかなども検討課題になる」
――テバ側が表明していた取締役の派遣はどうなるか。
「3人の取締役を迎える予定だ。テバの日本担当役員や日本法人の社長らが取締役メンバーになる。14日に開く株主総会で株主から承認を得ることにしている」
――テバによる完全子会社化に向け、創業家以外からの株式取得は。
「大洋薬品とテバの両社から、全株主に対して『株式譲渡依頼書』を出した。それには買い取り価格も明記している。順次、取得を進めていく考えだ」
――今後の大洋薬品の経営計画は。
「提携決定前の中期経営計画では2015年度(16年3月期)に売上高1000億円を目指していたが、恐らく前倒しで実現できるだろう」
「10月には提携効果を織り込んだ新たな中期経営計画を示したい。テバとの提携効果が出てくれば、(現行の中期経営計画に比べて)売上高で3割ほどの上乗せが見込めると期待している」
――テバが日本において既に合弁会社を設立している興和との今後の関係はどうなるか。
「今回のテバとの提携交渉は日本におけるテバのグループの企業は1社であるべきだというのが原点にある。契約書にもその旨を盛り込んだ。今後は(その契約内容の)履行に向けて進んでいくだろう」
「ただ、これについてはテバと興和の両社が話し合うべき問題であり、私たちが口をはさむことはしない」
記者の目
連携効果発揮
スピード肝心
「日本の後発薬業界におけるリーディングカンパニーを目指す」。島田誠社長はテバへの傘下入りを機に日本市場でトップの座を目指す発言を繰り返す。ただ後発薬を巡る合従連衡の動きは加速しており、両社にとっては連携効果をいち早く出すことが求められる。
テバは海外の後発薬市場で圧倒的な強さを誇るが、日本市場での存在感はまだ薄い。それだけに大洋薬品の果たす役割も大きい。テバの経営資源と豊富なノウハウ、生産基盤をフル活用できるかどうか。スピード感と併せて島田社長の総合的な経営手腕が試される。
【表】大洋薬品とテバの事業連携に向けた今後のスケジュール
6月14日 ○大洋薬品工業、株主総会
6月半ば ○事業連携に向け、両社で3期間に分けて話合い
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9月下旬
10月 ○大洋薬品、テバの連結対象へ移行予定
○具体的な事業連携の内容やスケジュール、大洋薬品の新中期経営計画を決定、公表へ
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