2011年6月18日土曜日

石狩のLNG基地来年稼働、北ガス・大槻博社長に聞く――災害時にも安定供給。

提案営業で販売6割増へ
 石狩湾新港で進む北海道ガスの液化天然ガス(LNG)基地建設で、6月末に出荷業務などに携わる基地会社が設立される。2012年末の稼働を前に準備が本格化する中、大槻博・北海道ガス社長に基地設立後の経営戦略について聞いた。(聞き手は小野沢健一)
 ――LNG基地建設の狙いは。
 「現在、苫小牧の勇払ガス田に原料の9割を頼っている。天然ガス需要は拡大を続けており、将来、勇払だけで対応していくのは難しい。長期的な安定供給のためには海外産原料の比率を増やす必要があり、そのためにはLNG基地の存在が欠かせない。災害対応にもメリットはある。苫小牧と石狩の2つの拠点を持つことで、どちらかが被害を受けても道内への安定したガス供給が可能だ」
 ――海外産原料の比率が高まることで相当のコスト増が見込まれる。ガス料金への影響は。
 「料金への影響は何としても避ける。ただし、LNG基地の総事業費は約400億円に達する。投資余力がそれほど残っているわけではなく、経営資源をエネルギー事業に集約することが必要になるだろう」
 ――基地完成後のガス販売の展望は。
 「パイプラインでの供給に加え、ローリー車で直接顧客に届けるLNGサテライト供給の提案営業などを積極的に行っていく。サテライト供給は15年度に1億立方メートルが目標。関連会社のフレアストによる営業も強化し、家庭用、業務用を合わせたガス販売量は現行の約6割増の年間7億立方メートルに伸ばしていきたい」
 ――東日本大震災による経営への影響は。
 「北海道ガスそのものへの影響はなかった。しかし、福島第1原発の事故でエネルギーの多様性が重視されるようになり、原油、LNGなどの燃料価格は中長期的に上昇していくだろう。いかに適正な料金で天然ガスを安定供給できるかが今後の重要な課題だ」

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