島津製作所は20日、上田輝久取締役専務執行役員(57)が6月下旬の株主総会を経て社長に昇格する人事を発表した。上田氏は2011年から主流の分析計測事業のトップを務め、バイオ分野にも市場を広げた実力者だ。記者会見した上田氏は今後、分析計測事業の海外事業を加速するほか、バイオ分野で需要を深掘りする考えを示した。
上田氏はライフサイエンス事業統括部長を務めるなどバイオ分野の経験が豊富だ。中本晃社長(69)は後継指名の理由について、「ライフサイエンスに関する経験や知識が豊富。真のグローバル企業となる上でふさわしい」と説明した。
上田氏は特に注力する分野として、(1)ライフサイエンス(2)環境(3)インフラ(4)食品・安全(5)新規材料――を挙げた。主力の液体クロマトグラフなどは「画像だけでなく、分子の種類や量がどれくらい含まれているかまで広げる」とした。
海外事業は大学や企業との共同開発や共同研究を進める拠点「イノベーションセンター」を米国、中国、欧州、シンガポールに開設する。「文化を含めて顧客を徹底的に理解すること」(上田氏)で、さらなる売り上げ増につなげる。
島津製はiPS細胞の研究や技術支援などをするiPSポータル(京都市)に出資している。同社の分析機器も「いずれはiPS細胞が関わる創薬の評価機器に使われる」(上田氏)とした。
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