ファーストリテイリングは海外事業を今後の成長エンジンと位置づける。今秋には海外の店舗数が日本を上回る見込みで、グレーターチャイナ(中国、台湾、香港)を中心に出店。国内の高付加価値路線を支える上でも海外の成長は不可欠だ。
我々の最終目標は、進出したそれぞれの市場でナンバーワンになること。日本とグレーターチャイナ、韓国では実現した。東南アジアや欧米でも存在感は確実に高まっている
ユニクロの海外出店は2015年8月期に200店を計画し、8月末に818店舗となる見込み。8月末に844店舗となる見通しの国内店舗数に迫り、秋には海外が国内を超える。
15年8月期のユニクロ事業の売上高はグレーターチャイナで3千億円、韓国で1千億円に迫るという。8千億円をうかがう国内に次ぐ柱に育ってきた。柳井氏は「世界一の市場である米国を最優先にする」とこのほど表明。「北米で3年後に売上高1千億、営業利益100億円を目指す」という。主戦場は国内から海外へ移ってきた。
事業経営をしていると毎日世界中でいろんな問題が起きていて、それを愚直に1点ずつ、つぶしていく。そういう情熱がなくなった時が一番の死角だろうと思う
ファストリの15年8月期の連結業績は売上高が1兆6500億円、営業利益は2000億円と、いずれも過去最高となる見通し。中国や韓国のユニクロ事業の好調がけん引する。国内ユニクロ事業も既存店売上高は前期比6%増を見込み、衣料品の需要が落ち込む中で強さが際立っている。
ただ米国のユニクロ事業はまだ赤字で、国内ユニクロ事業も原価上昇が響き営業利益は伸び悩む見込み。「2020年度に連結売上高5兆円」という目標実現には、成長のスピードをさらに速める必要がある。
ジーユーは「ファッションと低価格のブランド」として確立したと思う。それ以外のブランドも最短で10億ドルのビジネスに育てたい
低価格衣料品店の「ジーユー」は14年8月期に売上高が1000億円を超え、現在は売上高3000億円、営業利益300億円を目指している。3月に国内300店舗を超え、なお出店余地は大きい。海外も中国・上海と台湾を足がかりに、欧米への出店をうかがう。今後は「ZARA」や「H&M」といった外資ファストファッションと競える体制作りが課題だ。
他のブランドは苦戦している。米高級ジーンズの「Jブランド」は赤字に苦しみ、仏婦人服「コントワー・デ・コトニエ」や仏婦人肌着「プリンセス タム・タム」も当初計画ほどは伸びていない。15年中にもファストリやユニクロと業務システム全般を共通にし、あらためて底上げを目指す考えだ。
今後うちの経営やっていく人間には、絶対僕のスタイルにするなよって言っている。チームで会社を発展できる人が我々の会社を継ぐと思う。スケジュールは未定
「折り込みチラシの細部まで口を出す」という柳井氏も66歳。後継育成も待ったなしの課題だ。柳井氏は「チーム経営」を掲げ、現在約50人の役員を将来200人に増やす考え。1月から約50人の若手社員を選抜し育てる研修を始めた。各自に執行役員以上が指導役として付き、3年間かけて育てていくという。
2015年4月17日金曜日
ユニクロ「脱・価格経営」、ファストリ柳井会長、事業見直し急ぐ、国内、「個店経営」磨く。
ファーストリテイリングが主力であるユニクロ事業の見直しを急いでいる。国内は2年連続の値上げに踏み切る。画一的な店づくりも地域密着型に変え、デフレ型経営との決別を目指す。「時代に適合して一番良い業態、売り方、商品をやってきた」とする柳井正会長兼社長の最近の発言から、「脱・価格経営」の成否を探る。
いままでユニクロは「チェーンストア」だったが、今後日本の市場が縮むなら「個店経営」に徹しないといけない 3月下旬に開いた「札幌エスタ店」(札幌市)は子供の多い立地にあわせ子供服売り場を広くし、ベビーカーごと入れる試着室も設けた。27日午前9時の開店時には子連れ客など約1000人が殺到。だが通路の幅が広かったことから大きな混雑はなかったという。 子供服売り場の壁は、札幌を拠点とする絵本作家SORAさんのオリジナルイラストで彩った。北海道限定のテレビCMを流し、近隣の飲食店を紹介するチラシも配って地域共存をうたう。 「吉祥寺店」(東京都武蔵野市)は2014年10月の開店時に、吉祥寺に住んでいることで知られる漫画家の楳図かずお氏や近隣の有名店の店主らを広告に起用。店内では広告に協力した店のサービスや地図を展示した。4月には吉祥寺の街を歩いて景観マップをまとめるワークショップや、吉祥寺駅周辺を回るスタンプツアーを開催。「ユニクロ大阪」(大阪市)でも同様の取り組みをしている。コスト増になるが既存店でも今後、地域密着の手法を磨いていく。 付加価値が認められない限り売れない。我々はよりよい品質を目指していきたい 国内のユニクロでは7月から順次発売する秋冬物の新商品を平均10%値上げする。14年の秋冬物に続いて2度目となる。最大の理由は円安による衣料品の調達コストの上昇だ。ウールやカシミヤなど素材の値上がりや、主要な生産地である中国での人件費上昇も響いているという。 柳井氏は「円安もあり日本で売っている商品が世界で一番安い」と言う。例えばブラジャーカップ内蔵の肌着「ブラトップ」の日本での価格は税込み2145円。米国では19・9ドル(約2400円)、中国では149元(約2900円)だ。値上げによる販売への影響は「ないと思う」とする柳井氏。だが既存店の客数は前年を下回っている。新しい戦略が消費者に受け入れられるかどうかは不透明だ。 |
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アパレル
2011年7月15日金曜日
変わる東コレについて聞く―米IMG副社長レヴィ氏、JFW推進機構理事長三宅氏。
今秋から衣替えする東コレについて、実施組織の日本ファッション・ウィーク(JFW)推進機構の三宅正彦理事長(TSIホールディングス会長)と、スポンサー獲得の仲介役となった米IMGのピーター・レヴィ副社長(ファッション部門最高責任者)に聞いた。(聞き手は編集委員 小林明)
――なぜダイムラーをスポンサーに選んだ。
「世界の多くのコレクションとすでに連携しており、ニューヨーク、ベルリン、モスクワなどは東コレと同様にメルセデス・ベンツの冠イベント。ファッションへの理解が深く、デザイナー支援の経験も豊富で、信頼できるパートナーになる」
――外資の出資に対して一部に懸念もある。
「変化には常に不安がつきもの。ただ東コレを存続するためにはほかに選択肢がないのも現実だ。世界各地のコレクションにはそれぞれにふさわしいデザイナーや運営形態がある。新規スポンサーはそれを尊重してくれているので心配ない」
――東コレが乗り越えるべき課題は何か。
「すでに洗練されたショーを開催している。国際的に見ても水準は高い。才能ある国内デザイナーを発掘し、市場にアピールする環境づくりを支援したい。東京はストリート・ファッションに強みがある。国内市場も成熟しており魅力的だ」
――今後外国人デザイナーの参加が増えるか。
「コレクションは市場のニーズの上に成り立っているので、需要が見込めるデザイナーが参加するのが基本だろう。ただ厳密なルールはない。現実的には日本人デザイナーが中心になるのが自然の流れ。消費者や時代の動向に従うだけだ」
――東コレはどう変わっていくのか。
「具体策は実施組織が検討しているが、有料チケット制など一般消費者を巻き込めば、イベントへの関心が高まるはず。東京は映画、食事、アニメなどファッション以外の魅力も多い。東コレがライフスタイル全体の交差点になってほしい」
――IMGが東コレ以外のアジアのコレクションと提携する計画は。
「まだ非公式だが、すでに北京、ソウル、香港などいくつかのコレクションと協力関係にある。IMGは海外拠点を多く抱える国際企業。チャンスがあれば積極的にビジネスに取り組みたい」
――外資の冠イベントをどう評価する。
「大変にいいことだと思う。高級イメージが世界に浸透しており、うまく活用したい。スポンサーが国内企業でなければいけない理由はない。経産省の財政支援が切れた今、台所事情は一番厳しい。現実問題としてほかに選択肢はなかった」
――ダイムラー以外にも主要スポンサーの有力候補はあったのか。
「ダイムラーとはIMGを通じて早い段階から接触しており、当初から最有力候補だった。ただ東日本大震災の影響で協議が中断していたため、冠イベントにする方向で合意したのはごく最近のこと。ダイムラーがファッション支援事業を積極化する時期とうまく重なったのが幸いした」
――政府の事業仕分けで資金難に陥ったが。
「一時期はひがんだこともあったが、改革の好機だと前向きに考えることにした。東コレをやめてしまったら日本の恥になる。コレクションを続け、技術、クリエーションで日本の優位性を保つことが国力を支えることにつながる。外資主導は今や世界の潮流だ」
――今秋、予定している東コレの内容は。
「これまではもっぱらBtoBだったが、今後はBtoCのイベントも考える時期。有料チケット制を一部に試験導入して様子を見たい。開催時期や場所は従来通り。東京・六本木のミッドタウンも三井不動産の協力で当面は主要会場として利用させてもらう予定。現在、ダイムラーと協議中だが、メルセデス・ベンツの冠イベントとして3年以上は続けたい」
――今後の資金計画の見通しはどうか。
「経産省から財政支援を受けていたころの事業費は年10億円超。当面、それほど潤沢な予算は組めないが、年6億円程度は確保したい。今回、ダイムラーが最大スポンサーになるし、DHLやロレアルなど外資からも出資を受けるが、国内企業からの出資も不可欠。企業側の理解を得たい」
――なぜダイムラーをスポンサーに選んだ。
「世界の多くのコレクションとすでに連携しており、ニューヨーク、ベルリン、モスクワなどは東コレと同様にメルセデス・ベンツの冠イベント。ファッションへの理解が深く、デザイナー支援の経験も豊富で、信頼できるパートナーになる」
――外資の出資に対して一部に懸念もある。
「変化には常に不安がつきもの。ただ東コレを存続するためにはほかに選択肢がないのも現実だ。世界各地のコレクションにはそれぞれにふさわしいデザイナーや運営形態がある。新規スポンサーはそれを尊重してくれているので心配ない」
――東コレが乗り越えるべき課題は何か。
「すでに洗練されたショーを開催している。国際的に見ても水準は高い。才能ある国内デザイナーを発掘し、市場にアピールする環境づくりを支援したい。東京はストリート・ファッションに強みがある。国内市場も成熟しており魅力的だ」
――今後外国人デザイナーの参加が増えるか。
「コレクションは市場のニーズの上に成り立っているので、需要が見込めるデザイナーが参加するのが基本だろう。ただ厳密なルールはない。現実的には日本人デザイナーが中心になるのが自然の流れ。消費者や時代の動向に従うだけだ」
――東コレはどう変わっていくのか。
「具体策は実施組織が検討しているが、有料チケット制など一般消費者を巻き込めば、イベントへの関心が高まるはず。東京は映画、食事、アニメなどファッション以外の魅力も多い。東コレがライフスタイル全体の交差点になってほしい」
――IMGが東コレ以外のアジアのコレクションと提携する計画は。
「まだ非公式だが、すでに北京、ソウル、香港などいくつかのコレクションと協力関係にある。IMGは海外拠点を多く抱える国際企業。チャンスがあれば積極的にビジネスに取り組みたい」
――外資の冠イベントをどう評価する。
「大変にいいことだと思う。高級イメージが世界に浸透しており、うまく活用したい。スポンサーが国内企業でなければいけない理由はない。経産省の財政支援が切れた今、台所事情は一番厳しい。現実問題としてほかに選択肢はなかった」
――ダイムラー以外にも主要スポンサーの有力候補はあったのか。
「ダイムラーとはIMGを通じて早い段階から接触しており、当初から最有力候補だった。ただ東日本大震災の影響で協議が中断していたため、冠イベントにする方向で合意したのはごく最近のこと。ダイムラーがファッション支援事業を積極化する時期とうまく重なったのが幸いした」
――政府の事業仕分けで資金難に陥ったが。
「一時期はひがんだこともあったが、改革の好機だと前向きに考えることにした。東コレをやめてしまったら日本の恥になる。コレクションを続け、技術、クリエーションで日本の優位性を保つことが国力を支えることにつながる。外資主導は今や世界の潮流だ」
――今秋、予定している東コレの内容は。
「これまではもっぱらBtoBだったが、今後はBtoCのイベントも考える時期。有料チケット制を一部に試験導入して様子を見たい。開催時期や場所は従来通り。東京・六本木のミッドタウンも三井不動産の協力で当面は主要会場として利用させてもらう予定。現在、ダイムラーと協議中だが、メルセデス・ベンツの冠イベントとして3年以上は続けたい」
――今後の資金計画の見通しはどうか。
「経産省から財政支援を受けていたころの事業費は年10億円超。当面、それほど潤沢な予算は組めないが、年6億円程度は確保したい。今回、ダイムラーが最大スポンサーになるし、DHLやロレアルなど外資からも出資を受けるが、国内企業からの出資も不可欠。企業側の理解を得たい」
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アパレル
2011年7月13日水曜日
ココカラファイン社長塚本厚志氏―「中価格帯で高品質」注力
▽…「安売りのためのプライベートブランド(PB=自主企画)商品だけでは消費者はついてこない」とココカラファインの塚本厚志社長は話す。消費者の低価格志向が続く中でも、安さよりも品質を求めてメーカー品を買い求める客は多い。
▽…2011年3月期のPB商品の売上高比率は8・5%。16年3月期には15%まで高める方針だが、競合と比べても高い比率ではない。「トイレットペーパーなど日用品を使えばPB比率を上げるのは簡単だが、消費者に求められる付加価値品を開発する必要がある」と話す。
▽…たとえば「中価格帯で高品質」を掲げる化粧品は有望商品だ。PBで販売する美白・保湿効果のあるスキンケアオイルは「5000円程度の価格で、6000~8000円のメーカー品と同等の品質」。5000円の化粧品は安くはないが、お得感のある商品には消費者は手を伸ばすという。「採算が悪く、閉店を考えていた店舗にこれらのPB商品を入れたことで黒字化したこともあった」と効果を実感している。
▽…2011年3月期のPB商品の売上高比率は8・5%。16年3月期には15%まで高める方針だが、競合と比べても高い比率ではない。「トイレットペーパーなど日用品を使えばPB比率を上げるのは簡単だが、消費者に求められる付加価値品を開発する必要がある」と話す。
▽…たとえば「中価格帯で高品質」を掲げる化粧品は有望商品だ。PBで販売する美白・保湿効果のあるスキンケアオイルは「5000円程度の価格で、6000~8000円のメーカー品と同等の品質」。5000円の化粧品は安くはないが、お得感のある商品には消費者は手を伸ばすという。「採算が悪く、閉店を考えていた店舗にこれらのPB商品を入れたことで黒字化したこともあった」と効果を実感している。
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アパレル
2011年7月12日火曜日
アシックス執行役員渡辺博司さん――極細繊維で選手を支援
▽…「体に吸い付くような極細繊維を採用した」。こう語るのは世界陸上選手権の公式ウエアを11日に発表したアシックスの渡辺博司執行役員。同大会に向けて素材メーカーと開発した繊維をランニングシャツに使い、前後への揺れを従来に比べて「平均約7%低減した」という。選手からは「フィット感があって服のズレが気にならない」との声もあった。
▽…今回の世界陸上は韓国・大邱で8月末から始まる。日本代表のメダル獲得に期待が高まるなか、選手がウエアの揺れや重さなどを気にせず、「競技だけに集中できるようにすることが我が社の果たす役割」と力強く話していた。
▽…今回の世界陸上は韓国・大邱で8月末から始まる。日本代表のメダル獲得に期待が高まるなか、選手がウエアの揺れや重さなどを気にせず、「競技だけに集中できるようにすることが我が社の果たす役割」と力強く話していた。
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アパレル
2011年7月4日月曜日
グッチ社長ディ・マルコさん――「イタリア製」にこだわる
歴史との思いが創る世界観
東日本大震災で消費者の目はさらに厳しくなった。ラグジュアリーブランド、伊グッチのパトリツィオ・ディ・マルコ社長兼最高経営責任者(CEO)は「生命線である品質の高さをしっかりと伝える必要がある」と危機感を示す。そのため、インターネット通販の参入と並行して店舗を大幅改装する考えだ。創業90年を迎えた高級ブランドが日本でどう変わるのか。今後の戦略を聞いた。(聞き手は日経MJ編集長 三宅耕二)
ネット通販
年内に参入
--大震災は売り上げにどう影響しましたか。
「地震から2週間ほど直営店を閉めましたので、当然、売り上げに響きました。ただ、想像したほど落ち込みませんでした。夏以降については分かりません。高級ブランドですから、節電で店内が暗かったり暑かったりすると、ゆっくりと商品を選ぶ気持ちにはなりにくいですからね」
--大震災で日本事業を見直す考えはありますか。
「日本はグッチにとって重要な市場なので引き続き計画通りに進めていきます。とはいえ、日本を取り巻く環境は厳しいですね。市場は縮小する一方ですし、今後は伸びないだろうと思っています。1964年に東京・銀座に初の直営店を出してから50年近くになり、日本では認知度が非常に高くなりました。ただ、この15年ほどで高級ブランドにとって良い状況とは言えなくなりました」
「80年から90年代初めはロゴがもてはやされる時代でした。一目見てグッチやルイ・ヴィトンと分かる商品が人気を集めましたが、今やすっかり変わってしまいました。もちろん日本のお客様はブランドを好きでいてくれますが、上から下まで同じブランドというのは過去の話です」
「自分の個性を出せる商品しか選びません。主要販路である百貨店離れも非常に影響が大きいですね」
--では、日本でどう伸ばしていこうと考えていますか。
「今の時代だからこそよりグッチの生命線である品質の良さを訴える必要があります。グッチは時計だけはスイス製ですが、ほかの商品はすべてイタリアで職人の手によって作っています。日本にはすでに55店舗の直営店がありますが、増やす計画はありません。逆にこの価値をしっかり伝えられるように、店舗の改装や移転による規模の拡大を目指していきます」
「日本人は消費者の目が肥えていますが、大震災でますます厳しくなってきました。いかに我々が本物の高級ブランドであるかを伝えるかが、さらに重要になってきたと言えます。店舗改装で逆にお客様の数は減るかもしれません。本当の価値を見いだすお客様に最高のおもてなしを提供し、客単価を高めてシェアを伸ばすことで生き残っていきたいと思います」
--成長するネット通販市場にはどう対応しますか。
「年末までにネット通販のサイトを立ち上げます。我々は、高級ブランドが通販を手掛けることに懐疑的だった2001年ごろに、米国で挑戦してきました。米国で学んだのはネット通販は1つの流通販路と機能し、実際の店舗とのお客様の取り合いにはならないことです。全商品を店頭と同じ価格でネットで販売していきますので、店舗で扱っていない商品でも自宅で手軽に買えます。ネットでの買い物体験でグッチをより身近に感じていただくことが目的ですね」
京都での展示
職人の技伝える
--スマートフォン(高機能携帯電話)の普及が急速に進んでいます。
「スマートフォンは全世界で重要性が高まっています。立ち上げ当初はパソコンサイトのみですが、消費者と接するうえで重要な手段ですので、その対応も当然視野に入っています」
--6月25日から金閣寺(京都市)でグッチの貴重な商品の数々を展示しています。意外な組み合わせですが、その狙いはどこにありますか。
「グッチの職人による伝統的な皮工芸品の素晴らしさを伝えるためです。京都とグッチの創業の地であるフィレンツェは姉妹都市という深い関係にあることから、今回の企画が実現しました」
「90年代はブランドのロゴブームがありましたので、ファッションで伝統とかうたっても関係がなかったでしょう。ただ、人気に火が付いた半面、多くの日本人が手を伸ばしたため、高級ブランドが庶民的になったとも感じていました。もう一度、今の感性に微調整をしながらフィレンツェの伝統的な職人技を伝えていこうと考えました」
--中国市場開拓には「ロゴ戦略」が有効では。
「中国は20年前の日本と同じ段階にあると言えばそうですが、北京や上海のような中心都市では、すでに洗練されて値段が高い商品も求めるようになっています。(内陸部の)第2、第3グループの都市はまだ最初のブランドはロゴが入った商品にあこがれる人が多いです」
「ロゴといってもロゴがすべて悪い訳ではありませんが、ロゴを作ればそれでいいというやり方だけでは難しいですね。ブランドに歴史や思いを詰めることが重要です」
業績データから
シェア争奪の時代に
グッチの2010年度の売上高は27億ユーロ(約3156億円)で、前の期に比べて17%も伸びた。リーマン・ショックで消費が落ち込んでいた米国や欧州が復調してきたほか、中国などアジア事業の伸びが好業績につながったようだ。
一方の日本。世界でも重要な位置を占めてきたが、ディ・マルコ氏は「市場は伸びない」と厳しい見立てだ。「日本で生き残るためにはシェアを高めることが必要」と語る。これは市場拡大の時代からシェアを奪い合う時代に入ったことを示す。
ディ・マルコ氏はインタビューで何回も「伝統」を強調した。何も逆風ばかりではない。「ファストファッションの人気は過去となり、職人が作る高級品の価値が見直されてきている」と前を見据える。高級ブランド請負人の手腕に注目が集まりそうだ。
Patrizio di Marco プラダ・ジャパンの最高財務責任者などの役割で5年間日本で過ごした経験を持つ。1993年から98年までプラダ・アメリカの社長兼最高経営責任者。2001年にボッテガ・ヴェネタの社長兼CEOとしてグッチ・グループに入社、苦境のブランドを世界有数の高級ブランドに押し上げた。09年から現職。
東日本大震災で消費者の目はさらに厳しくなった。ラグジュアリーブランド、伊グッチのパトリツィオ・ディ・マルコ社長兼最高経営責任者(CEO)は「生命線である品質の高さをしっかりと伝える必要がある」と危機感を示す。そのため、インターネット通販の参入と並行して店舗を大幅改装する考えだ。創業90年を迎えた高級ブランドが日本でどう変わるのか。今後の戦略を聞いた。(聞き手は日経MJ編集長 三宅耕二)
ネット通販
年内に参入
--大震災は売り上げにどう影響しましたか。
「地震から2週間ほど直営店を閉めましたので、当然、売り上げに響きました。ただ、想像したほど落ち込みませんでした。夏以降については分かりません。高級ブランドですから、節電で店内が暗かったり暑かったりすると、ゆっくりと商品を選ぶ気持ちにはなりにくいですからね」
--大震災で日本事業を見直す考えはありますか。
「日本はグッチにとって重要な市場なので引き続き計画通りに進めていきます。とはいえ、日本を取り巻く環境は厳しいですね。市場は縮小する一方ですし、今後は伸びないだろうと思っています。1964年に東京・銀座に初の直営店を出してから50年近くになり、日本では認知度が非常に高くなりました。ただ、この15年ほどで高級ブランドにとって良い状況とは言えなくなりました」
「80年から90年代初めはロゴがもてはやされる時代でした。一目見てグッチやルイ・ヴィトンと分かる商品が人気を集めましたが、今やすっかり変わってしまいました。もちろん日本のお客様はブランドを好きでいてくれますが、上から下まで同じブランドというのは過去の話です」
「自分の個性を出せる商品しか選びません。主要販路である百貨店離れも非常に影響が大きいですね」
--では、日本でどう伸ばしていこうと考えていますか。
「今の時代だからこそよりグッチの生命線である品質の良さを訴える必要があります。グッチは時計だけはスイス製ですが、ほかの商品はすべてイタリアで職人の手によって作っています。日本にはすでに55店舗の直営店がありますが、増やす計画はありません。逆にこの価値をしっかり伝えられるように、店舗の改装や移転による規模の拡大を目指していきます」
「日本人は消費者の目が肥えていますが、大震災でますます厳しくなってきました。いかに我々が本物の高級ブランドであるかを伝えるかが、さらに重要になってきたと言えます。店舗改装で逆にお客様の数は減るかもしれません。本当の価値を見いだすお客様に最高のおもてなしを提供し、客単価を高めてシェアを伸ばすことで生き残っていきたいと思います」
--成長するネット通販市場にはどう対応しますか。
「年末までにネット通販のサイトを立ち上げます。我々は、高級ブランドが通販を手掛けることに懐疑的だった2001年ごろに、米国で挑戦してきました。米国で学んだのはネット通販は1つの流通販路と機能し、実際の店舗とのお客様の取り合いにはならないことです。全商品を店頭と同じ価格でネットで販売していきますので、店舗で扱っていない商品でも自宅で手軽に買えます。ネットでの買い物体験でグッチをより身近に感じていただくことが目的ですね」
京都での展示
職人の技伝える
--スマートフォン(高機能携帯電話)の普及が急速に進んでいます。
「スマートフォンは全世界で重要性が高まっています。立ち上げ当初はパソコンサイトのみですが、消費者と接するうえで重要な手段ですので、その対応も当然視野に入っています」
--6月25日から金閣寺(京都市)でグッチの貴重な商品の数々を展示しています。意外な組み合わせですが、その狙いはどこにありますか。
「グッチの職人による伝統的な皮工芸品の素晴らしさを伝えるためです。京都とグッチの創業の地であるフィレンツェは姉妹都市という深い関係にあることから、今回の企画が実現しました」
「90年代はブランドのロゴブームがありましたので、ファッションで伝統とかうたっても関係がなかったでしょう。ただ、人気に火が付いた半面、多くの日本人が手を伸ばしたため、高級ブランドが庶民的になったとも感じていました。もう一度、今の感性に微調整をしながらフィレンツェの伝統的な職人技を伝えていこうと考えました」
--中国市場開拓には「ロゴ戦略」が有効では。
「中国は20年前の日本と同じ段階にあると言えばそうですが、北京や上海のような中心都市では、すでに洗練されて値段が高い商品も求めるようになっています。(内陸部の)第2、第3グループの都市はまだ最初のブランドはロゴが入った商品にあこがれる人が多いです」
「ロゴといってもロゴがすべて悪い訳ではありませんが、ロゴを作ればそれでいいというやり方だけでは難しいですね。ブランドに歴史や思いを詰めることが重要です」
業績データから
シェア争奪の時代に
グッチの2010年度の売上高は27億ユーロ(約3156億円)で、前の期に比べて17%も伸びた。リーマン・ショックで消費が落ち込んでいた米国や欧州が復調してきたほか、中国などアジア事業の伸びが好業績につながったようだ。
一方の日本。世界でも重要な位置を占めてきたが、ディ・マルコ氏は「市場は伸びない」と厳しい見立てだ。「日本で生き残るためにはシェアを高めることが必要」と語る。これは市場拡大の時代からシェアを奪い合う時代に入ったことを示す。
ディ・マルコ氏はインタビューで何回も「伝統」を強調した。何も逆風ばかりではない。「ファストファッションの人気は過去となり、職人が作る高級品の価値が見直されてきている」と前を見据える。高級ブランド請負人の手腕に注目が集まりそうだ。
Patrizio di Marco プラダ・ジャパンの最高財務責任者などの役割で5年間日本で過ごした経験を持つ。1993年から98年までプラダ・アメリカの社長兼最高経営責任者。2001年にボッテガ・ヴェネタの社長兼CEOとしてグッチ・グループに入社、苦境のブランドを世界有数の高級ブランドに押し上げた。09年から現職。
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